鈴木えみが性教育を発信する思い。被害者も加害者も生まない社会を #性のギモン
── 性教育の注力度合いは学校や地域などにもよるかと思いますが、確かに日本の性教育が進んでいないというのは、これまでもたびたび言われてきました。 そうですね。昭和生まれの私自身、学校の授業でふわっと学んだ記憶しかないんです。だからこそ、そもそも私たち親世代が性教育の必要性をあまり認識していないように感じます。 実際、娘の同級生のパパさんから「性教育は、うちの子にはまだ早い」と言われたことも。でも、そこには性教育に対しての誤解があるのかもしれないと思います。例えば、いきなり性交渉そのものについて教えるんじゃないかとか、知識を得ることで、性交渉のタイミングをむやみに早めるきっかけになるのではとか。そんな不安が生まれることは、親として理解できます。 ですが、性教育というのは、身体や生殖の仕組みなどの知識を覚えることはもちろんですが、それだけではなくて。例えば、自分が嫌だと思うことを認識してそれを相手に伝えることや、逆に相手の気持ちはどうかなと思いやること。そうした人間同士のコミュニケーションの土台を学ぶことから始まるんです。これって掘り下げていくと、人権や道徳の話でもあると私は感じています。
ドライヤーで娘の髪を乾かしながらできる性教育
── 子どもが4歳のときから家庭で始めたという性教育。具体的にどんなことを実践してきたのでしょうか。 最初は絵本を買うことから始めました。もともと私は女性の生理なども恥ずかしいと思ったことがないタイプだったので、それまでも娘から「どうして血が出ているの?」と尋ねられたら、女性の身体の仕組みをフラットに説明してきました。 ですが、もう少し順を追ってきちんと伝えたいと考えたときに、やはり自分が十分に学んできていないこともあって、何と切り出せばいいのか最初の一言が見つからなかった。それで、まずは気軽な入り口として、絵本を探しにいったんです。 初めは子どもの本棚にそっと置いておくだけにして、子どもが関心を示したら徐々に読み聞かせを始めました。身体にはプライベートゾーン(水着で隠れる部分や口)があること。それは自分の許可なしに、他の誰も見たり触れたりする権利はないことなどを、一緒に学んでいきました。