改良版 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTIへ試乗 「日常と非日常」の対応力強化 でもMk7が良い?
日常と非日常への対応力が向上
クイックになったステアリングと、優れたフロント・グリップ、姿勢制御が相乗し、前期型よりコーナリング速度は上昇。フロントノーズの反応も即時的だ。遥かにフラットに旋回し、正確性も増し、操縦しやすくなったといえる。 リミテッドスリップ・デフは、コーナー出口でのトラクションを担保。ストレート目掛けた鋭い加速を支える。ハイグリップなブリヂストン・タイヤも頼もしい。 一方、ステアリングホイールは若干軽すぎ、感触も薄め。旋回途中でアクセルペダルを一気に戻しても、リアが横へ流れるような振る舞いはなく、淡々とラインを辿っていく。没入感が大幅に高まった、とまではいえない。 フェイスリフトで、動的特性の幅が広がり、日常と非日常への対応力が向上したことは明らか。ただし、基本的にハード側なことは変わらず、7代目を凌駕したわけではないだろう。 燃費は、動力性能を考えれば優秀。カタログ値は14.0km/Lで、CO2排出量は162g/kmに抑えられている。 客観的に評価すれば、8代目ゴルフ GTIは7代目より優秀だ。同等以上に速く、装備は最先端で、価格価値も高い。今回のフェイスリフトで、さらに実力が磨かれたことは間違いない。DCC付きなら、乗り心地も良くなっている。 細かな改良の積み重ねで、着実なアップデートへ結びついている。しかし、日常的な環境での印象を踏まえると、先代ほどの多様性を得ていないことも否定はできない。2024年のゴルフ GTIへ寄せるわれわれの期待が、大きすぎるのかもしれないが。 ◯:動的特性の幅広さ 落ち着いた身のこなしと敏捷性 引き上げられたホットハッチとしての楽しさ △:ややハードな乗り心地 ドライバーとの一体感 先代に届かない丸みを帯びた個性
フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI(英国仕様)のスペック
英国価格:3万8900ポンド(約747万円) 全長:4295mm 全幅:1790mm 全高:1465mm 最高速度:249km/h 0-100km/h加速:6.2秒 燃費:14.0km/L CO2排出量:162g/km 車両重量:1429kg パワートレイン:直列4気筒1984cc ターボチャージャー 使用燃料:ガソリン 最高出力:265ps/5250-6500rpm 最大トルク:37.6kg-m/1600-4590rpm ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)
ジェームス・アトウッド(執筆) 中嶋健治(翻訳)