改良版 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTIへ試乗 「日常と非日常」の対応力強化 でもMk7が良い?
GTIらしいインテリア 操作性は大幅に改善
プラットフォームはこれまで通りMQBだが、後期型では「エボ」に。同時に、インフォテインメント・システムは大幅にアップグレードされた。 インテリアは、タッチモニターの存在が目立つものの、明らかにゴルフ GTIだとわかるもの。タータンチェックのシート・クロスがうれしい。ステアリングホイールはリムが太く、レッドのステッチがあしらわれる。心地良い運転姿勢を探しやすい。 ペダルの間隔は広く、前方視界は良好。太いリアピラーと薄いリアウインドウで、後方の視界は余り優れないけれど。 Mk8.5へ進化したことで、タッチモニターは12.9インチへ拡大。増えた画面面積を活かし、主要な車載機能の操作メニューが固定表示される。モニター下部のタッチセンサー、スライダーにはイルミネーションが内蔵された。 ステアリングホイールには、実際に押せるハードボタンが並ぶ。内装の素材もアップグレードされている。一部に、少しローコスト感のあるパネルも残っているが。 車内空間は充分。前席だけでなく、後席にも背の高い大人が問題なく座れる。カップホルダーや小物入れなども、随所に用意されている。 荷室容量は374Lで、このクラスの平均。荷室のフロアは高さを変えられ、後席の背もたれを倒した時にフラットにできる。
増強されたトルクが有効 シャシーは着実な進化
確認が長くなったが、路上へ出てみよう。走り出した印象も、実にゴルフ GTIらしい。EA888型ユニットが圧巻のパワーを繰り出すわけではないが、エネルギッシュな個性は、10年以上に渡って特長の一部を構成してきている。 20psの増強は体感できるものの、それ以上に、太くなったトルクが有効。1600rpmから37.6kg-mを発揮し、中間加速のたくましさが増している。アイドリングより少し上、1000rpmからぐんぐん加速し、レッドライン目掛けて吹け上がる。 その間、7速DSGは滑らかにギアを選択。シフトパドルで自ら変速しても同様だ。 ブレーキも素晴らしい。何度かフルブレーキを試したが、フェードの兆候は見られなかった。ペダルを踏んだぶんだけ制動力が強くなる、セットアップも評価したい。 走行中の風切り音や転がり音は、最小限。強調されたエンジン音を、しっかり鑑賞できる。ダイナミック・モードのスポーティな響きも良いが、コンフォート・モードも安楽で悪くない。 乗り心地と操縦性のバランスは、GTIが強みとしてきたこと。前述通り、8代目は少し引き締めが強く、グリップ優先のバランスに仕立てられていた。 しかし、フェイスリフトでサスペンションが見直され、試乗車に装備されていたオプションのDCCも再調整。シャシーは、着実な進化を果たした。 ノーマル・モード時は、優しく親しみやすい。路面の凹凸を、以前よりしなやかに吸収してくれる。対して、スポーツ・モードではハードに転じ、ワインディングへ挑もうという気持ちを鼓舞してくれる。