築25から35年前後のアラサー・アラフォー住宅に必要な<診断>とは?床問題、傾き、沈み…建築家が「中古住宅における修繕順」を時系列で解説!
◆築20年目以降の「床」問題とは? 〈築15年目=ガス給湯器の交換〉築15年目頃に多いのは、キッチンや浴室のお湯の出が悪くなり、ついに冷たい水しか出なくなるケース。 ガス給湯器の交換時期である。真冬に壊れると最悪だ。我が家がそうだった。 お風呂に入れず、シャワーも浴びられず、お皿も冷水で洗った。一気に貧しい「昭和枯れすすき」感が満載になって悲しくなる。だからこそ予兆が現れたら迷わず交換しよう。 従来型のガス給湯器であれば15万~20万円、最新省エネタイプガス給湯器のエコジョーズで20万~30万円、この際、オール電化住宅に変えてしまうのであれば貯湯タイプのエコキュートで70万円前後必要である。 ただしオール電化は火を使わないから「火災予防」程度の気持ちで採用するのがよい。その他、15年間の間には蛇口やそのパッキンの交換や照明器具の交換、床のワックスがけ、網戸の交換、建具の建て付け調整など小さな修繕が起こる。 〈築20~30年目=床の張り替え〉築20年から30年目になると、床の張り替えが必要になることがある。 〈築40年超のアラフォー住宅、注意したいのは床〉築20~30年を超えてくれば、なんとなく違和感が出てくるのが「床の傾きや沈み」である。 特に1980年代後半からバブル後の1990年代前半ぐらいに建てられた住宅では、床がしなる症状が出てくる割合が高めだ。 人間は傾きに敏感である。少しの傾きで平衡感覚が乱れ、吐き気やめまい、肩こりなどの不調を訴えるようになる。 床の傾きが1000の6(0・34度)を超えると、ほとんどの人が違和感を覚えるといわれる。敏感な人では1000分の3、1メートル先がたったの3ミリ傾いただけで頭痛を覚える。
◆家の傾きについて建築業者の責任とは? 現在の住宅は建築業者に10年の瑕疵(かし)担保責任が義務付けられており、その間に家が傾いてしまったら建築業者が修正工事を行う責任がある。 そうならないようにあらかじめ地盤調査をして必要に応じて地盤を補強してから建築するので、そうそう家は傾かないものである。……が、築30~40年のアラサー、アラフォー住宅になるとほとんど地盤調査をしていないケースもあり、家が傾く事態が起こりうる。 湿地や造成地など、地盤が緩い場所に建てた家が傾いてしまっていることが多いので、築古の中古住宅を購入する際には、そこがどんな土地だったのかを知ることがとても大切になる。 傾いてしまった家を直すのは難しい。現在の住宅は「べた基礎」といい、建物の床下にはすべて鉄筋コンクリートが打ってある。 例えれば、かまぼこが家だとすると、かまぼこ板がべた基礎にあたる。だから地面の一部が沈んでも、その部分だけ持ち上げれば家全体が持ち上がるので修正難易度は易い(それでも150万円以上は必要だ)。 しかし、アラサー、アラフォー住宅は、「布基礎」といい、建物外周だけに鉄筋コンクリートが打ってあるだけという場合もある。 地面の一部が沈んだら、その部分だけ家が沈むため、直すのが困難なのだ。結局のところ、その一部分だけ応急処置するだけなので、抜本的な解決にはならないのだ。 仮に床を平行に直しても、柱は傾いたままなので窓やドアはひし形になったままで隙間が空いてしまう。生活の質があまりに下がってしまうようであれば、建て替えも視野に検討することとなるだろう。
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