加藤学園、喜びの夏 5カ月遅れ 甲子園で初陣 /静岡
高校野球の「甲子園交流試合」(日本高野連主催、毎日新聞社・朝日新聞社後援)の開催と加藤学園(沼津市)の出場が10日、発表された。新型コロナウイルス感染拡大防止のために中止になった春の選抜高校野球大会(センバツ)代表校32校を招待して開く大会。加藤学園にとって、5カ月遅れの甲子園での初陣となる。新たな晴れ舞台で戦えることに勝又友則主将(3年)は「野球がやれることが当たり前ではなかったと痛感した。最高の仲間と最高の舞台で野球ができる一秒一秒を大切にしたい」と感慨深げに話した。【深野麟之介、石川宏】 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 ◇主将「一秒一秒大切に」 米山学監督(42)は練習開始前の午後4時過ぎ、グラウンドに選手らを集め、「一生懸命に頑張ればよいこともある」と交流試合の開催と出場の決定を伝えた。選手たちは米山監督の一言一言に「はい」「はい」とはきはきと応え、笑みをこぼした。米山監督は報道陣の取材に「生徒は複雑な思いもあったと思うが、素直に喜びたい。いろいろな方が尽力して野球の場を与えてくれたことに感謝したい」と率直な思いを語った。 振り返れば、昨年秋の東海大会準決勝で敗れ、一度は遠のいた甲子園だった。しかし、明治神宮大会で中京大中京(愛知)が優勝し、道が開けた。センバツ初出場が決まった1月24日、部員たちは雄たけびをあげ、帽子を宙に投げて喜びを爆発させた。そのセンバツは新型コロナの影響でよもやの中止。3月11日の発表を受けて、体を震わせ静かに涙をぬぐった。悔しさをぶつけるはずの全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)も5月20日に中止が決まった。 臨時休校期間中は部員が集まっての練習ができず、インターネット会議システム「Zoom」を使い、バッティングフォームをチェックしあった。現在はグラウンドでの練習を再開。選手らはグラウンドで白球を追える喜びをかみしめている。 新型コロナに振り回され、ジェットコースターのように変化する状況。焦りや不安も募りそうだが、勝又主将は「甲子園に行くよりも大切なことを指導者や仲間から学んだ。それだけは忘れず前を向いてきた」と話す。 夢の舞台は、苦難に満ちた半年間の心身の成長を証明する舞台。昨秋の県大会と東海大会を投げきった主戦の肥沼竣投手(3年)は「自分のピッチングがどれだけ通用するか知りたい。全国の強いチームに勝ちたい」と意気込む。勝又主将も「チーム野球で一戦必勝で頑張りたい」と誓った。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇加藤学園の「甲子園」までの歩み◇ 【2019年】 10月27日 秋季東海大会2回戦で近大高専(三重)を破って4強入り 11月 2日 東海大会準決勝で県岐阜商に敗北 20日 明治神宮野球大会で中京大中京(愛知)が優勝し、センバツの神宮大会枠を獲得。東海地区枠が3校になる 【20年】 1月24日 センバツの選考委員会で春夏初の甲子園への出場が決定 3月 4日 新型コロナウイルスの影響でセンバツが無観客試合の方針になる 11日 センバツの中止が決定 5月20日 「夏の甲子園」の中止が決定 6月10日 「甲子園交流試合」への出場が決定