【五輪のコスト】東京オリンピックは結局いくらかかったのか?2つの数字の差異は2700億円以上に
【五輪のコスト】「選手強化策」や「ドーピング対策」費用も国の経費として認定
国が負担した経費について詳細に見ていきましょう。 組織委員会が公表した1869億円という経費に対し、会計検査院では3641億円としています。これは、選手強化策やドーピング対策など、国や組織委などが計上していなかった支出も経費認定しているためです。 また検査結果を受け、検査院は、国および独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)に対して「イベントのために国が負担する経費の総額(見込額)をイベントの実施までに適時に明らかにすること」や「イベント終了後にはその執行状況を明らかにし、また、イベント全体の経費の総額に関する情報を取りまとめて明らかにする仕組みをあらかじめ整備する」ことなど、複数の点に留意しするよう明記。 そしてその上で、大会終了後の課題について、関係者と相互に連携を図り、適切に対応していく必要があるとし、報告書を結んでいます。 オリンピックのような国際的イベントにおいて経費の膨張を防ぐには、第三者による確認・チェック体制を強化していくことが、より一層重要になると推察されます。 以上、組織委員会が公表した経費と会計検査院が報告した経費の差異についてご紹介しました。
オリンピックの公用語について
さて、パリオリンピックに話を戻しましょう。 今回の大会開催地「フランス」と、オリンピックの公用語には切っても切り離せない関係があります。 それはオリンピックの公用語についてです。 オリンピックの公用語を、皆さんはご存知でしょうか。 英語? いいえ、正解は「フランス語」と「英語」になります。学生時代にフランス語を学んでいた筆者にとっては、少し誇らしい気持ちになります。
オリンピックの公用語が「フランス語」の理由
オリンピックの公用語について、オリンピック憲章(2021年8月8日から有効の最新版)には下記の記載があります。 規則23 言語 1. IOC の公式言語はフランス語と英語である。 2. IOC 総会では常にフランス語、 英語の同時通訳が提供されるものとする。 その他の言語が IOC総会で提供されることもある。 3.オリンピック憲章およびその他の IOC 文書で、 フランス語版と英語版のテキスト内容に相違がある場合は、 フランス語版が優先する。 ただし、 書面による異なる定めがある場合はその限りではない。 注目すべきは「3」の部分でしょう。 フランス語版と英語版のテキスト内容に相違がある場合は、 フランス語版が優先 つまり、フランス語の優位性を認めているのです。この点から、オリンピックの公用語は「フランス語」という場合もあります。 フランス語がオリンピックの公用語になった理由は、近代オリンピックの父と呼ばれるピエール・ド・クーベルタン、通称「クーベルタン男爵」の功績によるものです。 近代オリンピックは、このクーベルタン男爵の功績なくしてあり得ませんでした。 「近代五輪の父」とよばれる彼に敬意を表し、彼の母語であったフランス語がオリンピック公用語になったのです。 なお、オリンピックの開会式など「フランス語」→「英語」→「開催国の言語」の順で国名が紹介されます。 東京オリンピック・パラリンピックでは「フランス語」→「英語」→「日本語」の順番で、入場した国の名前が読み上げられています。 オリンピックの開会式では、アナウンスがフランス語から始まり、それに英語が続くことにも、ぜひ注目してみてください。
参考資料
・スポーツ庁「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の大会経費」 ・会計検査院 令和4年度決算検査報告「第1 東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組状況等について」 ・TEAM JAPAN 「第33回オリンピック競技大会(2024/パリ)」 ・オリンピック憲章〔2021年8月8日から有効〕
長島 迪子