日大アメフット監督、コーチの嘘を暴いた関東学連の処分は大岡裁きだが…
日大のDL選手が関学大との定期戦(6日)でQB選手に悪質なタックルを行い負傷させた問題に関東学生フットボール連盟が厳罰を下した。29日、都内で規律委員会の答申を元に臨時理事会が開かれ、内田正人前監督、井上奨前コーチに“永久追放”にあたる最も重い処分の「除名」、森琢ヘッドコーチの「資格剥奪(登録抹消)」、当該のDL選手と、チームへは来年3月31日までの1シーズンの出場停止処分を下した。 焦点は内田前監督、井上前コーチから当該選手への「反則行為の指示」があったか、どうかという点。ここまで両者の主張は真っ向対立していたが、森本啓司・専務理事を委員長に、弁護士資格を持つ寺田昌弘監事も加えた4人のメンバーの規律委員会は、試合映像を詳細にチェックして内田前監督、井上コーチの動きを確認。チーム内の現役選手、当日審判、観客席でハドルの声を拾った関係者まで、計20人に及ぶ関係者から丹念に証言を集め、通信記録や音声データまでをチェック、それを経験則と合理性に照らし合わせながら、灰色に終わらせることなく「内田前監督、井上前コーチの証言は嘘。反則行為への指示はあった」と認定した。 会見では、まず悪質タックルに至った経緯とチーム体質を説明した。 内田前監督が復帰した2017年からチームの雰囲気と練習量もガラっと変わり、日大の常務理事でもある内田前監督は、絶対的存在で「白であっても内田監督が黒と言えば黒。理不尽な命令でもハイと実行するのがフェニックス」というチーム体質だったという。 有望選手をレギュラーメンバーから外して“干すこと”で精神的な圧力をかける指導がまかり通っており運悪く干される選手をチーム内で“はまる”と呼称。「はまると地獄だった」という証言もあった。 追いつめられた当該選手は「顔つきまで変わっていた」という。 また事件のあった試合中の審判とのやりとりも初めて明らかにされた。 第1プレーで当該選手が危険なタックルを行った際、イエローフラッグを投げた審判は「何してんだ?」と直接、怒鳴りつけた。審判が試合中に選手に声をかけることは滅多にないこと。当該DL選手は「はい、すみません」と返答。「興奮して判断能力を失っている状態ではなかった」と判断し「不必要な乱暴行為」で15ヤードの罰退のペナルティを科した。すぐに2度目のファウルを犯した際には、関学大の鳥内監督が、当該選手を指差しながら「退場にすべき」とアピール。審判は森ヘッドに走り寄り「あの91番(当該選手)はちょっとひどいよ。なんとかして!」と注意した。森ヘッドは「わかりました、すみません」と身振りで反応したが、森ヘッドもDLコーチである井上前コーチも当該選手を交代させることなくプレーを続行させた。 また試合中の守備チームのハドルで「当該選手が監督に言う通りにやったんや(あそこまでやったんや。俺らも気合を入れてやろうぜのニュアンス)」という声があったことを観客席で複数人が聞いているという。 これも内田前監督の反則指示を示す重要証言だ。