日大アメフット監督、コーチの嘘を暴いた関東学連の処分は大岡裁きだが…
また監督、コーチは除名として、当該選手、チームの出場処分は1シーズンだけと差をつけたのは日大のチーム体質を考え“悪いのは指導者で選手に罪はない”との温情だったのだろう。森本委員長も「学生のための処罰が、これでいいのかどうか、いろいろな意見が出た。彼らの出場機会を奪っていいのか、彼らの将来、当該選手の未来がどうなるか」と説明を加えた。 9月がリミットとなるが、当該選手には「規律委員会との面談で再発の危険が払拭されたと確認されること」を条件に停止解除の救いの道を残した。 チームにも「チームとしての原因究明と再発防止策の策定、実施、抜本的なチーム改革と組織改革の断行が、関東学連の検証委員会(人選及び設置は理事会で決定)によって確認されること」を条件に資格停止解除の可能性があることが付随された。 元サンケイスポーツの編集局長で50年以上アメフットを取材してきた武田吉夫氏も「踏み込んだ処分を出した。世論にも押されたのだろうが、確かな確証もあったのだろう。一方でチームには救いをもたせた。悪いのは、指導者で選手に罪はないとの判断。だが、いくらチームの体質が監督絶対であったとしても4年生は下級生への責任がある。学生スポーツに教育という目的がある以上、生徒の将来や未来を潰してはならないが、4年生に関しては1シーズンの出場停止は当然だろう」という意見。 有馬氏も「2018年度の出場停止処分も妥当だったように思う。学生スポーツは、4年という限られた時間しかないことを考えると1シーズンのペナルティは適切だろう。当該DL選手への処分に復帰条件をつけたことに対しても、多くの人が思っていることだろう」と評価した。 この厳罰処分を受けて、日大はアメフット部の加藤直人部長の名で「弊部といたしましては、本日受領いたしました、ご裁定を重く受け止め真摯に対応させていただきたく存じます。今後、今回の事案の反省のもとに早急に具体的な改善策を策定、実行し、二度とこのような事案が起こらないよう不退転の覚悟ですすめて参りたいと存じます」とのコメントを出した。 「監督、コーチは反則指示を出していない」との主張を続け、24日に返答した関学大への回答書も、そうなっていたが、嘘を暴かれて、もうその主張は撤回するつもりなのか。それならそうと書けばいいが、このコメントも、どこか曖昧だ。日大の態度がこんな調子ではとても一件落着とは呼べない。“大岡裁き”の後に、今後、日大がどうするかという問題が残っている。 有馬氏も「普通じゃないから、こういう問題がおきた。今後のチーム改革や組織改革は、日大の学内のことなので、そこは予想がつかない。ただチームには日大以外の立命大出身のコーチらもいて指導体制を一新できる可能性はあると見ているのだが」と疑問と期待を投げかける。 武田氏も、「これで終わりとは思わない。大変なのはここから。今回の関東学連の反則指示認定は日大の第3者委員会にも影響を与えるだろうが、内田前監督が常務理事に居座り、体育会の監督人事に影響力を持ったままでは、根本的な解決を期待するのは無理だ」と問題提起する。 次に残るのは、日大の自浄作用による新しい指導体制の顔ぶれだろうが、内田前監督が常務理事に留まり田中英壽理事長をトップにした大学の経営構造が変わらない限り“ブラック”な日大の根本改革は難しいだろう。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)