贅沢もせず堅実に生きてきた59歳・年収600万円の会社員、定年間際の貯蓄300万円で「崖っぷち老後生活」へ。元凶は一人息子がやめられない「怖い遊び」
堅実・質素に暮らしてきたにも関わらず、老後資金がほとんど貯まらなかったAさん家族。それは、息子が「あること」に依存してしまったことが原因でした。本記事では、近年、深刻な社会問題にもなっている依存症の問題と老後資金・教育資金の考え方について、ファイナンシャルプランナーの内田優帆氏が解説します。 【早見表】年金に頼らず「1人で120歳まで生きる」ための貯蓄額
定年目前の会社員Aさん、貯蓄300万円の厳しい現実…その理由とは
定年を間近に控えた59歳の会社員Aさん。年収は600万円ほどで長年に渡って堅実に働いてきたものの、老後資金はわずか300万円しかありません。 彼自身、そして妻も贅沢はせずに、日々慎ましい生活を続けてきたつもりでした。しかし、その努力にもかかわらず、蓄えは思うように増えていませんでした。 「こんなはずではなかった」とAさん。 Aさんには一人息子がいます。結婚後、長く子どもができなかったこともあり、可愛さのあまり甘やかして育ててきました。 無事に大学に入学し、子育ては順調だと思っていました。しかし、その後、思いもよらない事態が起きました。息子はオンラインゲームに夢中になるあまり、大学での勉強が疎かになり4年間で卒業できず、二度も留年を繰り返すことになったのです。 私立の大学で1年間の学費は100万円にもなります。それでも、大学中退にはさせたくない、きちんと就職してほしいという願いで一度目の留年を許可したのですが、まさか二度も繰り返すことは想定しているはずもありませんでした。 「大事に育ててきたはずなのに、どうしてこうなってしまったんだ……」
想定外の学費負担、オンラインゲームへの重課金に悲鳴
度重なる学費の負担に加え、大学に入って息子に渡していたクレジットカードはオンラインゲームの課金で毎月多額の請求が続き、Aさんの家計に大きな影響を与えました。その金額は累計で300万円を超える額になっていたのです。 「大学に入ったら必要になるだろうからと渡しておいたクレジットカード。毎月多額の請求が来ていることにしばらく気が付かなかったんです」 請求に気が付いた後も、息子が消費者金融から借金をすることや自分や妻への暴力につながることを懸念し、無理に止めることもできないでいます。 これから受け取る予定の退職金を使って住宅ローンを完済する予定でしたが、そうもいかなくなりました。Aさん夫妻は老後に向けた資金を貯めるべき時期に、高額な出費の負担が重なり、老後資金の計画が大きく狂ってしまったのでした。
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