クラスター対応が遅れる「3つの場面」 分科会・尾身会長が提示
政府は29日、有識者らによる新型コロナウイルス対策分科会を開いた。尾身茂会長(地域医療機能推進機構理事長)はその後の記者会見で、「クラスター(集団感染)は色んなところで起きている。当初は接待を伴う(飲食)店だったが、いまはさまざまなところで起きている。(新型コロナは)クラスターを介してどんどん拡大する」とし、冬に向けてクラスターを早く認知し、封じ込めることが必要だと訴えた。
これまでの事例分析から、クラスターには早期のうちに関係者を割り出し、「閉じやすい(対処しやすい)」場合と、対応に時間がかかるものがあるという。尾身会長は、特に閉じにくい3つの状況について触れた。 1つ目は、接待を伴う飲食店などが多い歓楽街。感染者、濃厚接触者がいるものの、人の出入りが激しくため個々人がどこで何をしたという情報が把握にくく、確認ができたときには遅れている。 2つ目は、クラスターの対応の経験がない一部病院や福祉施設、高齢者施設。初動対応の遅れているうちに院内感染が拡大しているケース。 3つ目は、外国人が関係しているケース。軽傷・無症状患者がコミュニティー内に持ち込み、クラスター化することがあるという。外国人の場合、言語の問題などから、どこに問い合わせたら良いか分からないなどの課題もある。尾身会長は「外国人も日本人と同じように感染が起きたときにケアする。外国人が来て感染を広げているとは報道しないように」と語気を強めて強調した。
クラスター対応で政府への提言
上記の状況を踏まえ、尾身会長は分科会として政府に対して5点を要望したと説明した。 (1) 歓楽街で働く従業員、訪れた客が気楽に相談・検査できる体制をつくること。 (2) 感染者確定の正式報告の前に、普段と違って何か怪しいことが起きた、何か普段と違うなということが起きた時には最終確認ができていなくてもそういう情報をシェアすること。 (3) 今までに情報が届かなかった人への情報提供。外国人には言葉の壁があるため、何か問題があっても、どこに問い合わせたら良い分からない面がある。例えば、この前我々が提案した「5つの感染リスクが高くなる場所」を日本語が分かる人に限定せずに伝えること。 (4) 保健所、医療機関を支援すること。 (5) 各地方自治体のクラスター対策で、半年以上ものすごい経験をしている。上手くいった点、反省すべき点を共有する機会を増やすこと。