大火災から5年…12/8に一般公開再開の世界遺産「ノートルダム大聖堂」12世紀からの歴史と復興プロジェクトの全貌
(ライター、構成作家:川岸 徹) 専用タブレット端末「HistoPad(ヒストパッド)」を使って、世界遺産・ノートルダム大聖堂の創建時から現代までをタイムトラベルする体験型の展覧会「特別展 パリ・ノートルダム大聖堂 タブレットを手に巡る時空の旅」。世界各国を巡回し、12か国目、16都市目となる「日本展」が東京・日本科学未来館で開幕した。 【写真】「HistoPad」を会場内のタイムポータル(時空の扉)にかざすと… ■ 世界中に衝撃を与えた大火災 2019年4月15日の夜、パリのノートルダム大聖堂で大規模な火災が発生。高さ約90メートルの尖塔が焼け落ち、屋根の3分の2が崩れる甚大な被害が出た。 大聖堂があるのは、紀元前3世紀頃にケルト系民族が住み始め、“パリ発祥の地”といわれるセーヌ川の中州・シテ島。12世紀の1160年に着工し14世紀に完成した大聖堂の建物は、ゴシック建築の代表作といわれ、世界遺産にも登録されている。現在に至るまでフランスのカトリック信仰の中心地であり続け、年間1000万から1200万人が訪れるパリ有数の観光地でもあった。 火災はフランス国内だけでなく、世界中の人々に衝撃と悲しみを与えたが、同時に「ノートルダム大聖堂がどれだけ愛されているか」を知る機会にもなった。フランスのマクロン大統領は火災現場に駆けつけ、翌日には「大聖堂を5年以内に、これまで以上に美しく再建させる」と意気込みを表明。国内外から再建支援の声があがり、火災から1週間足らずのうちに1000億円(約8億5000万ユーロ)を超える寄付が集まったという。 その後も寄付が続き、世界約150か国の国・企業がノートルダム大聖堂の再建を支援。マクロン大統領の宣言通り、5年で修復工事は大部分が終了し、2024年12月8日の再オープンを待つことになった。当日は一般公開も再開され、その様子は全世界にライブ配信される予定だ。
■ 「HistoPad」で歴史を辿る ノートルダム大聖堂の再建工事と並行して、復興プロジェクトの様子を紹介しつつ、文化財保護の大切さを伝えることを目的にした展覧会「パリ・ノートルダム大聖堂 タブレットを手に巡る時空の旅」が世界各国を巡っている。これまでアラブ首長国連邦(UAE)、フランス、アメリカ、ドイツ、中国、メキシコ、カナダ、イギリス、スペイン、韓国、ブラジルで開催され、日本は12か国目、16都市目。日本展の後はオーストラリア、香港、アメリカ(2回目)に巡回する。 展覧会はノートルダム大聖堂の模型やパネルなどの展示もあるが、主役は専用タブレット端末「HistoPad(ヒストパッド)」。来館者は入口でHistoPadを受け取り、簡単な説明を受け、会場へと進んでいく。会場内には21個のタイムポータル(時空の扉)があり、HistoPadをかざすと、ディスプレイに1160年の創建当時から再建工事中の様子まで、様々な時代のノートルダム大聖堂が映し出される仕組みだ。 このHistoPadが、よくできている。まず、操作が簡単。ボタンの配置がシンプルでわかりやすく、「タイムポータルを読み取る画面を出す」「ホーム画面に戻る」「詳しい情報を見る」といった基本的な操作は2、3回試せばすぐに慣れる。子供たちなら、あっという間に使いこなすだろう。そして、速くてスムーズ。ローディングにかかる時間は一瞬で、イライラを感じることは一度もなかった。