「トランプ」ネタで支持者からも笑いをかっさらう。 Saku Yanagawaさんが見たアメリカ大統領選と「笑い」の世界。
―ユーモアを介して、意見の異なる人も笑わせることができたと。 Saku:日本でも戦後には政治風刺を得意とする放送作家や喜劇俳優が活躍していましたし、吉本興業も初期には政治を描いていた時期もあったので、一概に日本のお笑いが政治を語ってこなかったわけではないんですよ。 逆に、日本のTV番組でよくある、 “熱すぎる!””痛すぎる!“みたいなリアクションを取る”罰ゲーム“が、日本らしいお笑いとして、最近アメリカでもウケているんですよ。だからリズムネタとか、裸芸で、オーディション番組で日本のお笑い芸人が最近活躍していますが、あれも流行するかもしれません。 ―アメリカでは有名人が自らのスタンスを公言することも一般的ですよね。先日、歌手のテイラー・スウィフトがカマラ・ハリスを支持すると公表したことが日本でもトップニュースになりました。 Saku:アメリカ全体の機運として、セレブリティたちは影響力があればあるほど、その知名度を分かった上で、信条を発表すべきだという雰囲気があるのは事実です。 ただし大統領選に関して、自分はリベラルだというのは割と表明しやすい部類の信条だと思います。今最も難しいのはイスラエルのガザ侵攻です。エンタメ業界にはユダヤ系が多いということも一因となって、表立ってパレスチナ支持だと公言する人は多くありませんでした。しかし、若い世代を中心にソーシャルメディアで、「何も表明していないセレブリティのフォローを外すことで、彼らのSNSの資金源を断とう」という動きがあり、結果、テイラー・スウィフトは数十万人のフォロワーを失っています。 ―「パレスチナ支持を表明しない=イスラエル支持だ」と受け取られたということですね。 Saku:意見を表明しないことで非難されるのは、今日のアメリカ、特にソーシャルメディア上で顕著なトレンドだと思います。この人は自分の味方なのか、敵なのかと二元論になりつつあることは危うい部分もあると思います。実生活でそこまで人に激しく態度表明を迫る人に会うことはさすがにないんですよね。だけどソーシャルメディアではよく起こる。その圧力に晒され続けることはメンタルヘルスに影響しますから、自分なりに距離の取り方を考えないといけないなとは思いますね。