ウクライナ侵攻で投入される北朝鮮兵は「突撃部隊」 兵士報酬ピンハネ、実戦経験のメリットも。日本にも影響?
北朝鮮軍がロシアに兵士を派遣したことで、ウクライナ情勢は東アジアを巻き込んだ新局面に入った。北朝鮮の狙いと見返りは何か―。米中央情報局(CIA)などの情報機関で長年、朝鮮半島情勢をウォッチしてきた保守系シンクタンク、ヘリテージ財団のブルース・クリンナー上級研究員は、北朝鮮兵がウクライナ軍との戦闘でロシア軍を支援し、突撃部隊の役割を担うと指摘。実戦経験を得るほか、金正恩政権にとっては兵士の報酬を搾取することで資金源にする思惑があると見る。日本にとって心配なのは、ロシアから北朝鮮への軍事技術の供与だ。(共同通信ワシントン支局 武井徹) 【写真】ウクライナの外国人部隊に、日本人の元ヤクザ 16歳の時に誘われて暴力団に 英語は「まったくダメ」、初めての海外 23年
▽金正恩の賭け、ゲームチェンジャーになりえず ―北朝鮮兵によるロシア支援について、どのように注目していますか。 「ロシアとウクライナの戦闘にどのような影響を与えるかということだ。派遣されたのが、歩兵や特殊部隊だとすれば、後方支援ではなく戦闘で突撃部隊として使われると推測できる。特殊部隊は敵陣潜入や暗殺の訓練を受けているはずだが、北朝鮮の場合は西側や韓国の特殊部隊のような質に達しておらず、そのような任務には就かないと思う」 ―北朝鮮兵の能力をどう見ていますか。 「北朝鮮は、ベトナム戦争や第4次中東戦争に絡んで戦闘機パイロットなどを送り、シリア内戦で2016年に小規模な軍事顧問団や部隊を派遣したことがあるが、大規模な地上軍の海外展開は初めてだ。経験や洗練された武器を欠き、ロシア軍と通信する統合指揮通信システムも持っていない。ロシアの戦力補強にはなるが、戦局を変えるゲームチェンジャーにはなりそうもない。ウクライナ軍相手にうまく戦えなかったり、北朝鮮の外の世界に触れることで多くの兵士が亡命したりすれば、北朝鮮軍全体の士気に影響する。有能な部隊ではないと世界に知れ渡るリスクもある」 ―金政権にとっては賭けでもあるわけですね。派兵によって何を得るのでしょうか。