トランプが勝っても「テスラの未来は暗い」、マスクの暴走で顧客離れ鮮明
イーロン・マスクが、気候変動への取り組みを後退させることを約束するドナルド・トランプを熱烈に支持していることは、民主党の支持者をコアな顧客層とするテスラにとって明らかなマイナスだ。 マスクは、10月23日のテスラの第3四半期(7~9月)の決算発表の電話会談にトランプへの支援活動を一時中断して参加した。テスラはこの日、予想を上回る売上高と純利益を報告して株価を急騰させたが、この好調は長続きしないという見方が浮上している。 「テスラは、依然として優れたクルマを作っているが、この会社はマスクの政治的主張のために、時間が経つにつれて新規の顧客を獲得することが難しくなるだろう」と、ロサンゼルスの資産運用会社ガーバー・カワサキのロス・ガーバーCEOは述べている。かつてマスクの大ファンだった彼は、今もなお5200万ドル(約80億円)相当のテスラの株を保有しているが、「イーロンは、自身の右寄りな政治的信条がテスラに与える悪影響から目を背けている」と述べている。 複数の調査データが彼の見方を裏づけている。調査会社ストラテジック・ビジョンのデータによれば電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車を購入しようとしている人の46%が民主党支持者だと特定されているのに対し、共和党支持者の割合は20%台に留まっている。また、エドマンズの最新調査では、新たなクルマの購入を検討する人の31%が、マスクの言動の影響で「次のクルマにテスラを選ぶ可能性が低くなった」と答えていた。 「マスクの言動は、テスラから民主党の支持者を遠ざけている」とストラテジック・ビジョンのCEOのアレクサンダー・エドワーズは語り、「共和党の支持者の購入意欲を高めることにもつながらなかった」と付け加えた。 マスクの政治への賭けは、テスラが逆風に直面する中で行われている。同社は、第3四半期の販売台数を伸ばすことに成功したが、世界の年初からの販売は2.3%減少している。コックス・オートモーティブによれば、9月までの米国におけるEV全体の販売台数は8.7%増加したにも関わらず、テスラの販売台数は4.5%減少していた。さらに、テスラにとって米国で最大の市場であるカリフォルニア州における販売台数は、今年約13%減少した。