どうなる?5P差の中に徳島、福岡、長崎の3チームでJ1昇格争いが大混戦
すべて西日本勢で形成される上位集団が最終コーナーを回り、フィニッユへ向けていよいよラストスパートに入ったJ1昇格をめぐる争いが大混戦と化してきた。 21日に行われた明治安田生命J2リーグ第35節で、首位の徳島ヴォルティスが0-2で京都サンガに完敗。2位のアビスパ福岡が1-1でモンテディオ山形と引き分け、3位のV・ファーレン長崎が1-0でジェフ千葉を下したことで、順位こそ変動しなかったものの、上位2チームが来シーズンのJ1へ昇格する戦いは、残り7試合で3チームが勝ち点5ポイント差にひしめき合う状況になった。 連勝を今シーズン最長の「5」に伸ばして敵地サンガスタジアムに乗り込んだ徳島は、ミスから献上した先制点とともに京都にペースを握られた。ともに無得点で迎えた前半30分。GK上福元直人の縦へのフィードを、自陣の中央でMF清武功暉がワンタッチではたこうとした直後だった。 右足に当たり損ねたボールは味方には渡らず、こぼれ球をすかさずMF庄司悦大がワンタッチで前線へスルーパス。ペナルティーエリア内でトラップから素早く反転したMF仙頭啓矢が左足を振り抜き、強烈なシュートをゴール右隅に突き刺してショートカウンターを完結させた。 「立ち上がりからいい形でボールを動かせていたが、失点したことで相手のペースになってしまった。後半にこじ開けたかったが、京都がいい守りをしていたので難しくなってしまった」 2017シーズンから指揮を執り、GKを含めた最終ラインからボールを繋ぐスタイルを浸透させたスペイン出身の46歳、リカルド・ロドリゲス監督が6試合ぶりに喫した黒星を振り返った。後半12分には得点王争いのトップを独走する、J1得点王経験者のFWピーター・ウタカに21ゴール目となる追加点を決められ、その後に次々と交代のカードを切るもゴールネットを揺らせなかった。
ホームのベスト電器スタジアムに山形を迎えた福岡も、まさかのミスから前半12分に先制された。左サイドを突破したMF松本怜大のクロスを、GK村上昌謙が痛恨のファンブル。後方にこぼれたボールを、詰めていたFWヴィニシウス・アラウージョに押し込まれた。 「試合への入り方があまりよくなく、ミスから失点してしまったが、ここで負けるわけにはいかないとメンタリティー、テクニック、戦術のところを合わせて追いつくことができた」 今シーズンから指揮を執る長谷部茂利監督が振り返ったように、後半22分にチームが一体となって同点ゴールが生まれた。敵陣でボールを奪ってから仕掛けたカウンター。ゴール前で山形のブロックに遭いながらもボールを繋ぎ、10月に山形から移籍したばかりのMF山岸祐也が左足を振り抜く。 再びブロックに遭ったシュートは、山形の別の選手に当たってペナルティーエリア内の左側に弾む。自分の前にこぼれて来ることがわかっていたかのように、誰よりも早く反応したのはFW木戸皓貴。わずか1分前に投入され、ファーストタッチで同点弾を叩き込んだ25歳が声を弾ませた。 「途中で入った僕たちが勢いを出していかないと、そのままズルズル負けてしまう状況だったので、何としても結果を残すという気持ちでした。前半から見ていてああいうシーンが多くなると思っていたので、信じて走っていった結果、いいところにこぼれてきました」 前節でFC琉球に0-1と苦杯をなめ、連勝を4で止められた長崎の手倉森誠監督は試合前のミーティングで檄を飛ばし、敵地フクダ電子アリーナへ乗り込む千葉戦への士気を高めた。 「スパートをかけるために勝負の際にいる、と。際の力を出すために前節に悔しい思いをした、と。残り試合を全部勝たなければいけない気持ちで力を注げば何かを起こせる、と話しました」 地力のある千葉に押し込まれ、シュート数でも5対11と後塵を拝し続けた。それでも千葉が攻勢に出ている時間帯に生じると分析していた、最終ラインの裏のスペースに狙いを定めさせた。迎えた後半6分。コーナーキックからの仕切り直しで、千葉がロングボールを前線へ入れた直後だった。