「また慶應SFCか」話題のPR会社社長「お嬢って呼ばれる」に強烈な違和感…卒業生「自分は『頑張ってるマウント』を取り合う世界」
SFCはそもそも、慶應の他のキャンパスから物理的に遠すぎる
さて話はSFCに戻る。なぜこんな話をしたかというと、そういった「慶應っぽさ」「慶應ノリ」みたいなものからSFCはちょっと離れている。 そもそも、物理的にもかなり離れている。SFCに行くには、相鉄線の湘南台駅かJRの辻堂駅からバスに乗り15~25分かかる。どちらの駅も神奈川県藤沢市にあり、都心から50分くらいはかかってしまうが、そのあとにバスに乗るというのも心理的ハードルがある。 ちなみに相鉄線と東急目黒線が直通運転を開始し、湘南台・日吉・三田が1本の路線で最近つながった。これには「三田会(慶應のOB組織)の仕業だ」などという陰謀論を流すOBもいる。ちなみに2008年、目黒線が延伸して日吉と三田が1本でつながったときも同じ陰謀を語るOBがいた。
「慶應生」と「SFC生」心理的にも離れている
そうした他キャンパスからの物理的な距離だけではなく、心の距離も離れている。先ほど医学部含む文系理系学部は日吉キャンパスで一般教養を学ぶと記載したが、実はSFCの総合政策学部、環境情報学部、看護医療学部は日吉で一切勉強しない。看護医療学部は3年次に信濃町キャンパスにうつるが、他の二つは最初から最後までSFCだ。それこそ日吉にいくのは入学式と卒業式だけだったりする。SFCにいけば福沢諭吉の銅像はあるのだが、やっぱり同じ大学でもどこか違う大学という気がしてしまう。ちなみにSFCの設置よりもあとに、共立薬科大学との合併で誕生した薬学部も1年生の時に日吉へ通う。 卒業生からしてみても敢えてSFCだけを隔離しているようにも思えるのだが、その理由の一つにはSFCには他学部にあるような必修の一般教養科目がなく、他の学部の学生たちはその一般教養科目を日吉で受講している。 SFC以外の筆者を含む慶應生たちはかつて、日吉で必修科目の単位を取得すると同時に、とんかつ店「とんみた」でハムカツのジューシーさを学び、カレーハウス「リオ」の体育会カレー(大盛ライスを大皿の真ん中に配置し両サイドにはカレーとハヤシ、そしてトンカツと生卵、チーズのトッピング付き)で腹を一杯にした(いずれのお店も閉店してしまったのは寂しい限りである)。当然SFCにもそういった独特の文化はあるのだろうが、どうしてもSFC以外の慶應生と共有しにくい。 そういった理由から大学のカラーがSFCとその他のキャンパスでは違う。どっちが良い、悪いというわけではなく、共有できる思い出が少ない。ちなみに日吉で活動するサークルや体育会の部活動に参加するSFC生もいる。とくに体育会に所属している学生はその活動の忙しさから日吉近辺に下宿するケースを多々みる。そしてSFCへの物理的遠さから通学が億劫になり、留年してしまう者も……。