那須川天心の“15歳の弟”龍心も凄い!アマRISE第1試合で判定勝利し来春のプロ転向と「一番強い天心超え」を誓う
セコンドには天心の姿はなかったが、控室に帰ると「まだまだだな。いい経験になったんじゃないか」と辛口の檄を飛ばされた。 兄の意見に逆らうつもりはなく、「その通りだと思う。まだまだ。直すところはいっぱいある」と素直に受け止めた。 この試合のテーマは「冷静に戦うこと」だった。 「いつも熱くなっちゃうんで。(相手の攻撃を)待っているときは冷静でいられたが、(攻撃に)行ったときに熱くなった。パンチだけで行っちゃったところが改善点」 冷静と情熱のバランス。トップファイターでも難しいメンタルの持ち方を中学3年生がもう考え始めている。末恐ろしい。 兄の影響を受けて6歳からキックボクシングを始めた。2年で“日本一”となりムエタイの世界大会で金メダルを獲得、昨年は敗戦も味わったが、今年はRISENovaジュニアAクラストーナメントでも優勝するなど非凡な才能を発揮している。 兄譲りとも言えるパンチのスピードとタイミングが光り、何しろそのファイトに闘争本能が前面に出る。本人が求める理想像はトータルファイターだという。 「これだけが上手いという選手じゃなく、全部が上手い選手になりたい。今はパンチに頼ってしまうので、もっと蹴りたかった」 だから大舞台での勝利も素直に喜べない。 来春の高校入学と同時にプロ転向する考えを明かした。 「天心も高校でデビューしたから」 兄へのライバル心がチラっとのぞく。 これまでは「天心と試合をやりたい」と本気で語っていた。 「天心は来年3月で引退しちゃうので試合をするのは厳しい。僕はまだプロデビューさえできていない。(キック界に)戻ってきたときにやりたい。もし戻ってくれば」 天心は来春にRISEでキックの引退試合を行った後にボクシングへ転向する。 まだボクシング界で何も成し遂げていないが、頂点を極めて、ベルトを持ってキック界に再び舞い戻るという前例のないプランを温めているとも言われている。8歳年下の龍心が、兄との真剣勝負を「戻ってきたときに」と語るのも案外、果たせぬ夢ではない。 「天心vs龍心」がドリームマッチとして盛り上がるためには、龍心が、来春のプロ転向後に「どこまでやれるか?」という結果にかかっている。 ――プロのキックボクサーとして超えたいのは天心になるか? 「天心がキックで一番強い。そこを超えないと意味がない。超えることを目指している」 “ポスト天心”に龍心が座れば、これ以上ないストーリー。しかし“天心の弟”という話題先行型になるのは、まっぴらごめんだ。 「注目される選手になりたいが、那須川の名前だけじゃ嫌。実力をもっとつけて、(俺は)天心じゃないぞってところを見せたい」 その意気やよし。 高校生で、もうスター街道を歩み始めていた兄の天心は、自らの後を追う弟に向けて、こんなメッセージを送った。 「那須川天心の弟だと見られると、ハードルが高いものがある。いち選手として今は成長の過程、そこを温かく見守ってくれれば」 “最強の遺伝子”を継承するキックボクサー那須川龍心が、来春からプロとして本格始動する。