インスタで発信、僕らの性教育 男子高校生3人組「セクテル」 性の問題を「自分ごとに」
#性教育はエキサイティングなものです-。そんなハッシュタグ(目印)を添え、インスタグラムで情報を発信する男子高校生3人組がいる。「性の問題を『自分ごと』として捉える人を増やしたい」という思いから、若者ならではのユニークな取り組みを展開中だ。彼らの問題意識に耳を傾けると、日本の性教育の課題が見えてきた。 【画像】「セクテル」のインスタ 「コンドームのYES・NO」 「コンドームって結局なに」。単刀直入なタイトルのインスタグラム投稿。指を滑らせスマートフォンの画面を繰ると、コンドームの避妊成功率や避妊法としてのメリット・デメリット、入手方法や使い方が、親しみやすい書体とイラストでつづられていた。 投稿したのは、公文国際学園高等部3年の瀬戸真明空(まあく)さん(18)、福田大治郎さん(17)、本久碧さん(18)の男子高校生3人。性教育団体「セクテル」のメンバーだ。 活動を始めたのは昨年から。きっかけは学校で行われた専門医による性教育の授業だった。 ■単なる暗記科目が… 「それまで性教育は単なる暗記科目だった。保健の授業で配られたプリントにキーワードを穴埋めし、テスト前に丸暗記するだけ。人生につながるものだとは思っていなかった」と本久さんはいう。 そんな認識を大きく変えたのが、昨年、同校で講演した泌尿器科医、岩室紳也さんの話だった。長年エイズ予防に携わってきた性教育の専門家が語ったのは、正しい自慰行為の仕方など、タブーを排除した性と健康の知識。そして、岩室さん自身が経験した苦い失敗談だった。 「一番印象に残ったのは、岩室さんが初めてエイズ患者と握手をしたときに汗から感染するかもとパニックになったというエピソード。性について学ぶことは、生身の人間関係や人生に深くかかわることだと分かり、純粋にもっと知りたいと興味がわいた」。瀬戸さんはそう振り返る。 ■探究学習のテーマ 岩室さんの話に背中を押された瀬戸さんが同級生2人を誘い、日本の性教育の現状と諸外国との違いなどを「探究的な学習」のテーマに。学びを深めるうち課題に感じたのが「日本の性教育が若者にとって自分ごとになっていないこと」(福田さん)だった。 昨年8月、インスタグラムに「セクテル」のアカウントを開設。医療従事者が監修した性教育情報などを参考に「低用量ピル」「生理用品」「性病」などについての情報をまとめ、発信した。今年は北海道の高校から「同世代の目線で生徒たちに性の問題について語ってほしい」と講演依頼も舞い込み、活動範囲が広がった。