キットカットが常に売れ続ける理由。国内売上No.1ブランドの戦略を教えてもらった
さまざまな業界のヒットメーカーへのインタビューから、ヒットを生み出す方程式を解き明かす『ヒットのアルゴリズム』。 キットカットが常に売れ続ける理由。国内売上No.1ブランドの戦略を教えてもらった 今回ご紹介するのは、日本国内売上No.1を誇るチョコレートブランド「キットカット」。 愛される定番チョコレートであり、想いを書き込んで伝えるメッセージツールでもある──。そんなキットカットブランドの方程式を、ネスレ日本株式会社コンフェクショナリー事業本部インツーホーム マーケティング部 部長の村岡慎太郎さんに伺いました。 「キットカット」のヒットのアルゴリズム コンセプトを日本に合わせて再定義する 普遍的なメッセージツールを目指す 「日本ならではの需要」に着目する ブランドとトレンド、2つで何ができるか考える 生活者の目線で「ワオ!」を探す
1. コンセプトを日本に合わせて再定義する
現在、世界80ヶ国以上で販売されるグローバルブランド・キットカットは、「Think Globally, Act Locally」の方針のもと、日本でも独自の進化を遂げてきました。 大きな転換点となったのは2000年代初頭に「Have a break, have a KitKat」というグローバルのブランドスローガンを日本流に再定義したこと。 「break」には「手で割る」以外に、仕事の手を止めて「休む」という意味もあるのですが、日本では仕事中のブレイク(ひと休み)に対して後ろめたさを感じる人も多い。 そこで日本人にとってのブレイクの価値を徹底的に見直した結果、「ブレイク=ストレスからの解放」ではないかと気づいたわけです。 時を同じくして、「九州地方では受験シーズンになるとキットカットが飛ぶように売れる」との報告が。 なんでも、九州の方言「きっと勝つとお」(絶対に勝つよ)が、「キットカット」と同じ音であることから、受験生のお守りとして広まったそうです。 そこに着想を得て、2003年から受験生を応援するキャンペーンをスタートしました。 ブランドがこのブームに着目したのは、同時期にスローガンの見直しを行なっていたからこそ。 受験生にとってのストレスといえば、やはり受験勉強やプレッシャー。そのストレスからの解放を、キットカットを通じて応援したいと考えたことが、現在のキットカットの「応援」というコンセプト・価値のルーツになりました。 そこを起点として、より日本の文化にマッチしたブランドになったのです。 このブランド刷新が、現在の「メッセージを添えてがんばっている人に渡す」という、キットカットの独自性を生み出すことにつながりました。