キットカットが常に売れ続ける理由。国内売上No.1ブランドの戦略を教えてもらった
2. 普遍的なメッセージツールを目指す
2024年3月、ネスレは部活動に励む学生を応援する「キットカット ゴールド」を新発売。パッケージには誰かを応援する人々のシルエットが金色で表現されています。 村岡さん曰く「誰かを応援する人こそが、キットカットの真のコンシューマー」。誰かを応援したいという人間の普遍的な気持ちを後押しすることが、キットカットの価値だと語ります。 キットカットが目指すのは、受験だけでなく、就職や資格取得、スポーツの試合など、人生の様々なモーメントに寄り添うメッセージツールになること。 勝利を意味する「ゴールド」を、ベストを尽くして頑張る人に贈りたい、という想いを込めました。
3. 「日本ならではの需要」に着目する
キットカットと言えば、日本各地の名産品の味を取り入れた「ご当地キットカット」も有名。 実はこれも、キットカットというブランドを日本に最適化する考えから生まれたアイデアなのです。 旅の思い出を身近な人と共有する「お土産」は、日本独特の文化。 メッセージツールというキットカットとのコンセプトともマッチしており、その土地土地の味をキットカットで再現したら、きっとお客様に喜んでいただけるのではないか、と考えたのです。 2002年に夕張メロン味を販売したところ、国内旅行客のみならず外国人旅行客もわざわざ北海道まで買いに来るなど、地域限定フレーバーの高いポテンシャルを実感。2008年から本格的に「ご当地キットカット」シリーズを展開スタートしました。 各地の名産品や特産品とコラボレーションを行ない、1フレーバーにつき1年ほどの時間をかけて商品を開発しています。 また、ご当地フレーバーの根底には、キットカットを通じてローカルブランドを広めたい、「応援したい」という想いが込められています。
4. ブランドとトレンド、2つで何ができるか考える
キットカットといえば、旬のフレーバーを取り入れた期間限定商品や、サーティワンアイスクリームやサンリオキャラクターズなど、他ブランドとのコラボレーションにも積極的です。 「ブランドを守る」ことも大事ですが、お客様へ価値提供を追求して、つねに攻めることを考えています。 ブランドの軸となる「応援」だけは変えない。しかしそこ以外は、定番だからこそ進化し続ける必要があるのです。 「応援」と世の中のトレンド、この2つを合致させたうえで、「キットカットがどうあるべきか」を考える。これが新商品のアイデアを生み出す基本の思考です。 たとえば2024年4月にスタートしたサンリオとの新生活応援企画では、サンリオが大切にする「みんななかよく」をキットカットで「応援」するという視点で限定商品を開発。 キットカットを渡すことで、初対面でも会話が広がるように、全28種類のキャラクターとそれぞれのメッセージが個包装にプリントされました。