京都東山と祇園、和洋の粋出合うラグジュアリーホテル泊 美食・古美術散歩で憩う
■一見では難しい店をツアーで訪れ、水辺で憩う
「THE SHINMONZEN」がユニークなのは、ゲストに寄り添うバトラーサービスを提供していること。中でもゲストエクスペリエンスチームが希望に合わせてアレンジしてくれる体験はどれも素晴らしい。建仁寺の塔頭(たっちゅう)寺院、両足院での座禅体験や、花街でのお茶屋体験(体験ごとに実費あり)など一見ではなかなか体験できないものばかりだ。 界わいを案内してもらう無料のウオーキングツアーでは一見では入りづらい新門前通の古美術商を訪れたり、お茶屋やレストランが軒を連ねる花見小路で芸妓(げいこ)や舞妓の厳しいお稽古やしきたりを聞いたりと、貴重な体験もできる。「THE SHINMONZEN」のすぐ近くで、入り口を竹のインスタレーションが飾る古美術と現代作家のギャラリー「夢工房」では、白川を挟んで向かい合う2階の部屋にも案内してもらえる。 「THE SHINMONZEN」内に2024年6月オープンした「OGATA at The Shinmonzen」は、こだわりのブレンド茶「T., Colletion」や菓子や茶器、生活道具などを扱う。現代における日本文化の創造をコンセプトに建築やインテリアなど様々なデザイン活動で世界的に活躍する緒方慎一郎氏が創業したOGATAのブティクである。 「THE SHINMONZEN」のオーナーがフランスの「OGATA Paris」に感銘を受けて誘致した店で、目利きが選んだ商品構成とその見せ方に驚かされる。様々な日本茶と果実、穀物をブレンドしたお茶が、茶器や湯飲みとしても使える容器に入って並ぶ(40グラム1944円から)。 清らかな白川の流れを眺めながら、ジャン-ジョルジュ氏の朝食、ランチ、ディナーをテラスで味わうことができる。いずれも外来の利用が可能だが、予約をおすすめする。 モダンアートや古美術など日本の美に対するオーナーの審美眼や深い愛情が感じられるホテルである。(1室2人まで24万9050円から、税・サービス料・朝食、京都駅からホテルまでのプライベートトランスファー込み)。 文:小野アムスデン道子(ライター)
小野アムスデン道子
旅行ガイドブック『ロンリープラネット日本語版』(メディアファクトリー)の編集を経てフリーに。東京と米ポートランドのデュアルライフを送りながら、国内外の旅の楽しみ方を中心に、食・文化・アートなどについて執筆、編集、プロデュース。日本旅行作家協会会員。 ※この記事は「THE NIKKEI MAGAZINE」の記事を再構成して配信しています。