12年ぶり古巣J2ジュビロ磐田にコーチで復帰の”ゴン”中山雅史氏が歩み始めた「監督への道」
ワールドカップの舞台における日本代表の初ゴールを含めて、数え切れないほどの記録と記憶に残るゴールをサッカー人生に刻んできた炎のストライカーが、いよいよ指導者の道を歩み始める。 J2のジュビロ磐田は13日、元日本代表FW中山雅史氏(53)がトップチームのコーチに就任すると発表した。選手として6シーズン所属してきた、J3のアスルクラロ沼津を1月13日付けで退団。2009シーズンまで在籍した古巣への12年ぶりの“電撃復帰”から、新たな夢と可能性が広がっていく。 磐田から加入したコンサドーレ札幌を、2012シーズン限りで退団。現役引退ではなく「第一線から退く」という言葉を残し、活躍の場を解説やコメンテーターへ移そうとしていた2013年2月に、イベントの場に登壇した中山氏は監督業への興味を問う質問にこう答えている。 「自分の自信と情熱次第ですが、チャンスがあれば。ただ、まだライセンスを持っていないので、取得することが先決ですけど、それ(監督)もまたひとつの道だと思っています」 中山氏が言及したライセンスとは、日本代表やJクラブの監督を務めるのに必要となる公認S級コーチライセンスを指している。Jリーガーの場合はC級からスタートさせて、B級、A級ジェネラルと段階を踏んで取得してようやく受講資格を得られる、日本サッカー協会(JFA)が公認・発行する最上位の指導者資格を、中山氏は昨年3月のJFA理事会で付与されている。 もっとも、取得までの道のりは決して平坦なものではなかった。中山氏は沼津で2シーズン目を迎えていた2016年度のS級コーチ養成講習会を受講し、同年度中にすべてのプログラムを完了した。しかし、指導者としての実績がなかったために、JFAから認定されなかった経緯がある。 約2年9ヵ月のブランクを経て2015年9月に現役復帰した沼津を、公式戦のピッチに一度も立つことなく退団した中山氏だが、選手としてのトレーニングは継続していた。そして2019年シーズンからは沼津の下部組織、高校生年代のU-18のコーチも並行してスタートさせている。 そのU-18でのコーチ活動が、指導者としての実績にあたるとJFAに認定された。現役選手としてはピッチ上で貢献できなかった沼津へ、大いなる感謝の思いを抱いているのだろう。クラブの公式ウェブサイトで、中山氏はこんな言葉を綴っている。