「発達障害は親のせいではない」 信州大学の天文物理学者が語る幸せな子育て
大学で自分の道を探せばいい
――高校生が進路を選ぶときに、最近は「自分のやりたいことがわからない」という悩みが多く聞かれます。何かアドバイスはありますか。 やりたいことが見つけられない人こそ、大学に行けばいいと思います。4年間いろいろな講義を受けて自分の道を探索してほしいですね。大学のウェブサイトを見ればそこの大学ではどんな研究をしている先生がいるかがわかりますから、「これは面白そうだな」と感じる研究が一番多い大学を選ぶのも、いいと思います。大学内で見つからなければ、大学外に見つけに行ってもいいですしね。だいたい高校生の年齢で、自分のやりたいこと、大学で学びたいことがきっちり明確にわかるわけがないというか、それをわからせようとする大人が悪い! 悩んでいるお子さんには、そう言ってあげてください。 ――受験生の保護者に対してメッセージはありますか。 子どものことが心配なのは、どの親も同じだと思います。私も心配ですよ。でも子どもを自分の物差しで測って、ああしろ、こうしろと言うのはやめましょう。子どもと私たち親世代では、生きてきた時代がまったく違いますし、5年後、10年後はさらにその違いは大きくなるでしょう。 新しい時代を生きる子どもたちに、昭和の古い物差しを当てはめるのは間違いです。もし昭和のやり方が正しいなら、今頃、日本は世界有数の幸福度が高い国になっているはずですが、そうじゃないんですから。まずは子どもを信じましょう。心配はしながらも子どもに自由を与え、必要なときにだけ手を差し伸べる。これが、親の愛です。
プロフィール
本名・藤田あき美 信州大学工学部工学基礎部門准教授。米コロンビア大学博士課程修了(天文物理学)。米カリフォルニア大学サンタバーバラ校、ドイツのマックスプランク天文学研究所などで研究活動し、2014年から信州大学で教鞭を執る。20年から始めたTikTokのフォロワー数約37万人、YouTube登録者数約26万人(24年8月現在)。2人の息子は現在、20歳と17歳。