「辞める以外に選択肢が…」メンタルヘルスの危機で仕事を諦めるZ世代が増加。英国での経済損失は「22兆超」
マリエラも、職場の環境に苦しむ人々により柔軟な対応が必要だと感じる1人。多嚢胞性卵巣症候群と診断され、現在は注意欠陥・多動性障害(ADHD)の診断を待っているマリエラは、「あまりに単調で、集中できませんでした」と、社内勤務に困難を感じました。しかし、退職後、フリーランスのコンテンツ・クリエイターとして働くことにすると、その柔軟さは自分に合っていたそう。「メンタルヘルスのために時間を割きたいときはそうすることができます」「パンデミックは、世界が変わったことを示しました。私たちにはより柔軟なやり方が合っているんです。どうしてもっと広範に適用されていないのか、わかりません。」
多くの職場は多様な労働形態に移行し、今日ではイギリス国内の会社のうち、フルタイムの社内勤務を実施しているのはわずか30%、パンデミック以前は57%でした。しかし、マッカーディー氏が正しく指摘しているとおり、小売店や接客業といった、比較的若い世代に多い職業には多様な働き方は向きません。Z世代の半数以上(56%)が小売業界で働いている、または働いた経験があり、25歳以下で接客業を志している人々の割合は5%増加していることを考えると、こうした業界におけるメンタルヘルス研修が以前に増して不可欠になっているとマッカーディー氏は言います。「よりよい経営をしてもらう必要がありますし、すべての雇用者にメンタルヘルス研修を受けてもらう必要があります。若い人から聞き取り調査をした結果、特に目立ったのは、彼らが自分たちをロボットのように扱われたくないと思っていることでした。雇用者と従業員の間で、メンタルヘルスに対する尊重と理解が優先される必要があります。」
もっとも、メンタルヘルスに対する有効なサポートを提供する職場を待つだけでは、十分とは言えないし、それでは遅過ぎます。Mental Health Foundationによれば、メンタルヘルスの問題の半分は14歳までに確立しており、24歳までに徐々に75%に達するのだとか。子どもの頃に良い習慣、力強い支援、規則正しい生活などが確立していないと、メンタルヘルスに不調をきたした場合に働けなくなるのは不思議ではありません。「学校でもっとメンタルヘルス研修が行われ、メンタルヘルスへの理解を確立する必要があります」とナイト氏。「教師と生徒がメンタルヘルスについてのリテラシーを向上させる必要がありますし、心の病の兆候を見せていたり、そのリスクが高い子どもたちに早期の介入をして支援するためのアクセス権が必要です。」 雇用者と従業員の間でメンタルヘルスに対する尊重と理解が優先される必要があります 「Resolution Foundationのレポートがもうひとつ明らかにしたのは、メンタルヘルスの問題と若い人々が学校に行けなかったことの間のつながりです」と語るのは、慈善団体Mindの政策およびキャンペーン部長、ニル・グーゼルガン氏。「若い人々には学校と大学の両方で支援が必要ですし、貧困率の高い地域では特に早期支援のための拠点が必要です。」 マッカーディー氏も、学校は若者を支援するための構成要素を導入すべきだとの主張に賛同。Resolution Foundationのレポートは、メンタルヘルス、教育、雇用の間の強力なつながりを発見するものでした。メンタルヘルスの不調を抱える若い学校中退者の3分の1が失業状態にある一方、学位を有する若者の失業率は17%です。「国中の学校に決まったかたちのメンタルヘルス支援あるわけではありません。どれくらいの支援を得られるかは運次第です」とマッカーディー氏。「若者にとって、義務教育の間に支援があるということが不可欠です。そうすれば、メンタルヘルスの問題で苦しんだとしても、学校にとどまって、必要な資格を得ることができます。」ただし、教師にその責任を負わせることは、現実的に言って、多くの教師にとってオーバーワークと言えそう。全英教育連合が実施した、教育者18,000人を対象とするある調査によると、教師のうちの48%は仕事量が「常に、またはほぼ手に負えない」と感じており、教師の3分の1以上がストレスを時間全体の「80%かそれ以上」の間感じています。