「辞める以外に選択肢が…」メンタルヘルスの危機で仕事を諦めるZ世代が増加。英国での経済損失は「22兆超」
「もちろん、深刻な精神障害もありますが、多くの人々にとって、メンタルヘルスの問題はあらゆる条件の組み合わせです」と『コスモポリタン イギリス版』に語ったのは、慈善団体Mental Health Foundationのイギリス支部長、アレクサ・ナイト氏。「住宅事情、経済状態、教育程度、信頼できる人間関係があるかなどで決まることもあります。若い世代の間ではこうした条件が目に見えて悪化しています」とのこと。現在のイギリスの経済状況はあらゆるところに影響をおよぼしているそうで、「私たちは、若い人々がメンタルヘルスの不調により学校を退学し、低賃金の職場に入り、住宅不足や記録的な家賃の高騰に苦しんでいる姿を見ています。ソーシャルメディアは若い人々が絶えず外に出かけて楽しむプレッシャーをかけますし、かなり悲惨なニュースや事件の画像や動画に常にアクセスしています。これは最悪の状況です」とナイト氏。 メンタルヘルスの不調は個人レベルにも破壊的な影響がありますが、イギリスの景気回復にも多大な影響があります。Mental Health Foundationの調査によると、メンタルヘルスの不調は年間で1,180億ポンド(約22兆1,400億円)の経済損失で、これはイギリスのGDPの約5%に相当します。2023年の第4四半期にイギリスが自律的な経済後退の局面に入ったことや、イギリスはG7の中でパンデミック以前の経済レベルに戻るのが最も遅かったことなど考えると、とりわけ切迫した状態だと言えます。先に挙げたResolution Foundationのレポートを共同執筆したエコノミストのチャーリー・マッカーディー氏は、これは今後はるかに悪化する問題だと言います。「我々の調査によると、若い頃に病気で仕事がない期間が長くなればなるほど、その後の人生で労働市場に参入することがより難しくなります」「自信に傷がつき、自分にはキャリアを築く力が備わっていないと感じるようになるのです」とのこと。