松本幸四郎と尾上松也が悪の華を咲かせる! 伝説の舞台『朧の森に棲む鬼』が歌舞伎NEXTとして上演決定
「落ちるの一秒、ハマると一生」と言われる歌舞伎沼。その深淵をのぞき、沼への入り方を指南するこの連載。今月ご紹介するのは、2024年11月~12月新橋演舞場と、2025年2月博多座で上演されることが決まった歌舞伎NEXT『朧の森に棲む鬼』。2007年、劇団☆新感線の舞台として上演され、大ヒットとなった作品の歌舞伎舞台化に、松本幸四郎さんと尾上松也さんがダブルキャストで挑みます。演じるのは、大事な人を裏切り、舌先三寸で王座に上り詰めていく極悪人のライ。劇団☆新感線の舞台でもライを演じ、鮮烈な印象を残した幸四郎さん。そんな幸四郎さんに憧れて、今回主役を射止めた松也さん。舞台にかける二人の熱い思いにバイラ歌舞伎部のまんぼう部長とばったり小僧が迫ります!! 攻めた衣装も似合う!松本幸四郎さん&尾上松也さんの写真をもっと見る (右)十代目松本幸四郎●まつもと・こうしろう 1973年、東京都生まれ。父は二代目松本白鸚。屋号は高麗屋。1979年3月、三代目松本金太郎を名乗り初舞台。1981年10月、七代目市川染五郎を襲名。2018年1月、十代目松本幸四郎を襲名。 (左)二代目尾上松也 ●おのえ・まつや 1985年、東京都生まれ。父は六代目尾上松助。屋号は音羽屋。1990年5月、二代目尾上松也を名乗り初舞台。2015年~2024年、新春浅草歌舞伎でリーダー役を務めた。歌舞伎のほか、ミュージカルなどにも出演多数。
■劇団☆新感線の幸四郎さんは、誰よりカッコイイ!!
まんぼう部長 歌舞伎NEXT『朧の森に棲む鬼』がいよいよ新橋演舞場で上演されることが発表されました! 『朧の森に棲む鬼』は、2007年に劇団☆新感線で上演されたもので、そのスケールの大きさや主役を演じた幸四郎さん(当時は市川染五郎)の圧倒的な演技で、多くの人を魅了した伝説の舞台です。それが今回、歌舞伎NEXTとして甦るということで、発表されたときには演劇界は沸き立ちました!幸四郎さんは上演が決まったとき、どう思われましたか。 幸四郎 そもそも歌舞伎NEXTというのは、歌舞伎の新たなステージを目指して立ち上げたものなんですけれど、第一弾(『阿弖流為<アテルイ>』)に続いて、第二弾ができるということが、まずは嬉しかったですね。また『朧の森に棲む鬼』は、僕にとっても特別な作品で、いつかまたできたらいいなと思っていたので、今回、それが実現するということで喜んでいます。 ばったり小僧 とくに今回は、主役のライを幸四郎さんと松也さんがダブルキャストで勤められるということで驚きました。 松也 僕も驚きました(笑)。劇団☆新感線の舞台は、昔から何度も観に行っていて、とくに幸四郎さんが出演された『阿修羅城の瞳』『髑髏城の七人』『アテルイ』……は、ご本人を前に言うのもちょっと恥ずかしいですけれど、幸四郎さんがめちゃくちゃかっこいいんですよ。「我らが幸四郎さんが誰よりもかっこいい!」って、僕ら後輩たちは思っていたんです。 その中でもとくに感動したのが『朧の森に棲む鬼』でしたので、その作品に自分が出演させていただける、しかも幸四郎さんとダブルキャストでライを勤めさせていただけるということは、とても嬉しいのと同時に、最初に聞いたときは恐れ多い感じがしました。