あの日は、つい、政局について考えてしまった──突然の事故から6年、元自民党総裁・谷垣禎一の今
当選同期で残っているのは菅直人だけ
「私と当選同期の仲間は、去年の選挙で、全員いなくなりました。そうするとね、さっぱりしたもんで、やっぱりそろそろ年貢の納め時だったんだな……という感じになりましたね。同期でいうとね、与野党合わせて残っているのはただ一人、菅直人。やっぱり彼が一番……(笑)、なかなかしぶといじゃないですか」 日頃医療従事者と接する障害者の立場で、コロナ禍を経験した。 日本と世界のニュースを眺めながら、元政治家として、さまざまな思いを持ったという。 「私もヘルパーさんたちに助けていただく毎日ですから、自分が感染しても、ヘルパーさんが感染しても、たちまち生活が滞ってしまうんです。朝起きて着替えて、髭を剃ることすらできなくなる。だからお互いに相当神経を使っていますよね。あの時ね、あるヘルパーさんが、『私は知事や大臣の話をこんなに真剣に聞いたことは、今までなかったです』とおっしゃったんです。なるほどなあ、と思った。たくさんの人たちが政治家の言葉に本気で関心を持ったわけです。飲食店が閉まっていったり、子どもたちが通学する時間を奪われたり、日々の暮らしに切羽詰まったものがあり、政治の力が問われた。コロナを克服し、社会のダメージを回復させるためには、何をするべきなんだろう。結局これは、国際協調だろう、そう思いました」 「昔、当選したばかりの頃、福田赳夫先生にお話を伺ったら、『スペイン風邪、世界恐慌を乗り越えてやっていこうという時に、世界で協調するべきだった。しかし日本をはじめ、多くの国が縄張り意識を強めて失敗をした。それが第二次世界大戦だ』というようなことをおっしゃったんです。今度もね、国際社会が協調してコロナ後の社会に取り組めるかと思っていたら、ウクライナでしょう。戦争を終わらせるのは、なかなか容易ではない。さて、どう持っていくか、非常に難しいところですね。現役を退いた私が言うのもなんですけど。いつもそういうことを、ベッドに寝そべりながら考えています」