投票率、対ロ・対中外交、参政権……在日外国人が考える、日本の選挙と政治
日本に暮らす外国人にとって、この国の選挙や政治のあり方はどのように映っているのか。今回の参院選の争点でもある、外交や経済といったテーマも見据えながら、ウクライナ、台湾、そしてミャンマー出身の在日外国人たちに話を聞いた。(取材・文:室橋裕和/撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
在日ウクライナ人3代が語る、日本人の政治意識
「お店がオープンしたのは2月23日。その翌日に、ロシアのウクライナ侵攻が始まったんです」 ウクライナ人のシティニツカ・リュドゥミラ(45)さんは言う。留学をきっかけに来日して28年になるが、ロシア・ウクライナ料理のレストラン「ペルメニ・ブティック」を埼玉県の南鳩ヶ谷に開いた次の日に、祖国が蹂躙された。 日本の経済制裁でロシアのウォトカやウイスキーなどが輸入できなくなり、円安のため羊肉やワインなど輸入物は割高になっている。オープン早々なかなかに大変だが、店名にもなっているペルメニ(ロシア、ウクライナ風の水餃子)目当てに、ウクライナ人も日本人も、それにロシア人もやってくる。政治と食とは別のものだ。 「日本人も、プーチンが悪いのであって、ロシア人が悪いわけじゃないと、わかっていると思います」
ただ、参院選の争点のひとつ「外交」について訊ねると、きっぱりとした答えが返ってきた。 「日本は、ロシアにもっと厳しく対応するべきと思う」 経済制裁をさらに強めて、プーチン政権にプレッシャーをかけてほしい。対ロ関係は悪化する一方だが、いまは日本が強く当たるべきだと考えている。 リュドゥミラさんの母、ステファニヤさん(74)は、5月9日に祖国の首都キーウから「脱出」してきたばかり。夜間はロシア軍の空爆を避けるためにマンションの地下にこもり、住民たちと肩を寄せ合って過ごすような毎日だった。耐えかねて鉄道で隣国ポーランドに出て、そこから日本へ逃れてきた。同じように日本に来たウクライナ避難民は1400人を超えた。彼らにさまざまな生活支援が打ち出されていることについて、リュドゥミラさんは語る。