「タリバン新政権」国際社会はどう対峙する? 中ロは融和的か
各国は「タリバン政権」を承認するか?
今後、アフガニスタンはタリバンの下でどうなるでしょうか。まず、新しく発足する「タリバン政権」を各国が承認するかが問われます。主要7か国(G7)は協議をはじめ、24日には首脳によるオンライン会議が行われ、日本から菅首相が出席しました。会議の結果、G7として国際社会とも協力しながらアフガニスタン情勢に一致して対応していくことを確認しました。米国務省のプライス報道官は19日の記者会見で、アフガニスタン新政権の承認について、イスラム主義組織タリバンが基本的人権を尊重するかどうか見極めた上で一致して判断することになっていると説明しました。 また米国は、中国やロシアとも外相級の協議を行っています。
カギとなるのは、アフガニスタンの新政権がテロリストや過激派をかくまったり、支援したりする危険が今後も続くかです。2001年9月、イスラム過激派の国際テロ組織アルカイダによって米同時多発テロが引き起こされ、約3000人が犠牲になりました。米国は当時のタリバン政権に対し事件の首謀者であるオサマ・ビンラディンの引き渡しを要求しましたが、拒否されたので、米国主導の有志連合軍は2001年10月、アフガニスタンに対する攻撃を開始。2か月後にタリバン政権は崩壊しました(アフガニスタン戦争)。その時はテロと過激派の脅威と戦うことに国際的な理解があり、米国の行動は支持されました。
今回、20年ぶりにカブールを奪回したタリバンにその懸念はないのかが問われます。タリバンは2001年に政権を追われた後、反政府武装勢力となり、「市民を傷つけない」と言いながら無差別的なテロをたびたび起こしました。タリバンは8月17日、記者会見を開いて国際社会の懸念に応えようとする姿勢を見せ、女性の権利を尊重するとも表明しました。しかし、それは「イスラム法が認める範囲」との条件付きです。国際社会はタリバンの基本的な性格が変化したとはまだ思っていません。 そんな中、タリバン政権はハミド・カルザイ元大統領らと会談したことが伝えられています。カルザイ氏は旧タリバン政権の崩壊後に進められた民主化の中で、2004年から2期、約10年にわたって大統領を務め、日本との関係も深い人物です。アフガンの最大民族パシュトゥン人であり、タリバンも多くがパシュトゥン人とされています。新政権との関係でも仲介役を果たす可能性があり、カルザイ氏は8月15日、アフガニスタンに残って「問題解決に努める」との意向を表明したといいます。