【帰省ブルー】解消は「男性がカギ」専門家が提案する2つの方法…年末年始の「親子関係メンテナンス」どうする?
◾️帰省ブルーを解決する「父子帰省」
──解決策があれば教えてください。 最近増えているのが、配偶者を連れて行かないということです。例えば父親の実家には父親と子どもだけで帰るとか、またその逆もあるといったやり方です。 ──いわゆる「セパレート帰省」ですね。 「父子帰省」は、特に結婚して子どもがいる女性にとって、家で1人で過ごせる非常に貴重な時間です。 ──夫と子どもが1日中いないということですね。 これはなかなか得難いものだと思います。日本ではまだ家庭責任が女性に偏っていますので、男性は例えば職場の仲間と遊びに行くこともありますが、女性にとって1人で過ごすことができる時間はすごくストレス解消になり、プラスの効果があります。 ──父子帰省は増えているんですか? 民間会社が行っている統計では、若干増えてきているという推測はできます。 ──元々あまり熱心に子育てをしていないお父さんだと、子どもを連れて新幹線に乗るといったことが難しいかもしれないですよね? これはなかなかテクニックがいるので、できない父親もいっぱいいると思います。逆に無理やりやってしまったら、せっかく妻が1人で過ごせてゆっくりできていると思いきや、ハラハラして逆にストレスがたまってしまうこともあり得なくはないわけです。 ですので、普段から子育てを共にやるような家庭であれば、使えるやり方かなと思います。 ──逆に、父子2人で帰る準備段階で、お父さんと子どもが話すきっかけになるとか、そういう可能性もありますか? そうだと思いますね。なので、使いようによっては日本社会の課題である父親の育児参加を進めるきっかけになる気はします。
■夫婦そろって帰省するなら…夫の重要な役割とは
──夫婦そろって帰省する場合は何がポイントになりますか? 夫の実家に連れていく場合は、夫の役割はすごく重要です。 夫が両親の考えていることや妻が考えていることを一番把握できる立場にいるわけです。なので、お互いが考えていることを推測して、うまいことやり取りをサポートして、お互いが気持ちよく過ごせる環境を作る役割が、夫側にあるはずなのです。 そういうのを意識せずにぼけっとしているようだと、妻は「うちの夫は何もやってくれないな」とストレスがたまると思います。 父子帰省でも男性の活躍する度合いは強いですし、一緒に帰省する場合でも夫の役割というのはかなり大きいと思います。そういう意味で、やはり男性がカギになると思うんですよね。 ──夫が、両親と妻のコーディネーターとして働くということですね? そうなんですけど、伝統的に親戚との付き合いをコーディネートしてきたのは、日本の場合女性側でした。夫側の親戚の付き合いも妻が管理するようなことがかつてはよくあったと思います。 時代が変わり、夫側の仕事が少し増えて「せっかくの休みなのに勘弁してくれ」という男性も多いと思いますが、今まで女性が引き受けてきた負担を分かち合った結果、やることが増えているというところは意識してもいいと思います。 今、大人の親子関係は「個別化」が進んでいると言われています。夫方の親との関係は夫が、妻方の親との関係は妻がちゃんと維持してうまくやっていくんだという考え方です。介護もそうで、今、自分の息子の配偶者に介護を期待することもなくなってきているわけです。 ──父子帰省も無理そう、帰省してもずっと座ったまま、という、わりと後ろ向きな男性にはどう呼びかけたらいいでしょうか? 男性って職場ではわりと面倒くさい人間関係の調整とかやるんですよね。なのでそれをプライベートな場所で全くやらないというのは、妻からしたら「何だこの人は仕事ができないのか」と思われても仕方がないと思うんです。仕事の場で発揮しているはずの有能さをちょっとだけ家庭とか親戚づきあいに発揮すれば、すごい仕事になると思うんですよ。 なので妻側はプライドをちょっと突いてみるというか、「仕事できるはずだよね?」「職場ではちゃんとやってるんでしょう?」みたいな。仕事感覚で振ってみるというのもあるかなという気がします。