白熱ドロー巨人VS阪神に見え隠れした誤算と思惑
橋上氏は、こんな見方をしている。 「先発を5人で回している状況にあってメルセデスの3回降板は大誤算だろう。2番手の桜井も本塁打だけは避けなければならない5回二死一塁でマルテを迎えた場面で失投した。大事な優勝争いの局面で、ファームから経験のない第6の先発を抜擢するのも危険。私は、もうこのまま先発5人体制で突っ走るべきだと思うし、負担のかかる中継ぎが、ある程度失点することも原監督は計算ずくだと思う。その考えが3回の代打に集約されている。巨人が、今後、逆転優勝するためには打ち勝つしかない。打撃陣が課題を抱えた投手陣をどれだけカバーできるか。坂本、岡本の2人は、信頼できるのだから、カギを握っているのが、丸、中田の復調となる」 丸は、この日、2ランを含む2安打と復調気配を見せ、4タコだった中田も、前日の広島戦では移籍第2号を放っている。 「丸には復調の兆しはあるが本当によければ9回に逆方向の内野ゴロではなく外野フライを打てている。私が知っている打点王の中田は、打席で“打つ雰囲気”を作っているが、9回も、2球目のどまんなかのツーシームに手が出なかった。セに移籍してから苦手とする内角を徹底して攻められているから、その意識が離れず得意のボールも打ち損じたり手が出なくなっている。また今年は体にキレがないようにも見える。得に下半身に安定感がない」 橋上氏が、楽天、西武でコーチを務めた2015、2016年に日ハムの主砲だった中田は、3年連続の100打点をマークしている。 「2人が復調するために重要なのは精神面だと思う。コンディションや技術よりも実績のあるこういう選手たちは気持ちの持ちようが大切。とにかく焦らさないこと。どこかでいい打席、いい結果が出ると変わってくる。ただ残り試合を考えると原監督が我慢するにも限界がある。特に中田に関しては、どこかで見極めをつけるのだろう」 一方、橋上氏は、阪神のポイントは「投手陣」と見ている。 「絶対的な守護神のスアレスがここにきて前にボールを飛ばされ始めたのが気にはなるが、先発に加え8、9回の安定感は阪神が上。ただ巨人とは、逆に打線には期待できない。大山と岡本の4番の差というものも顕著だった。大山は初回の無死一、三塁で併殺打。1点は加えたが、あそこは一気にたたみかけなければならない場面。得点圏打率が1割台の打者が4番では苦しい。ただ外国人選手の4番よりも、生え抜きの選手が4番に座った方がチームに一体感は生まれる。大山を4番に戻したのであれば、残り試合は大山4番で行くべきだろう。佐藤も代役がいないのであれば7番あたりで我慢して使い続けていい」 現時点での橋本氏の最終結論は「阪神V」だ。 「ヤクルトは残り試合の日程が苦しく、今の7連勝の反動が来る。巨人も打線次第で先が読めないし、菅野が絶対的なエースになっていないのが難点。阪神との直接対決を5試合残すが2ゲーム差があるので3勝2敗ではひっくり返せない。そう考えると、やはり優勝争いで2位の阪神が一歩リードしている。機動力も含めて、チームスタイルが出来上がっているし、ここから首位を再度奪い返すと思う」 今日25日の巨人ー阪神の第2ラウンドの先発は阪神が高橋遥で巨人はエースの菅野を立てる。巨人は菅野で負けるとますます逆転Vへ向けて窮地に追い込まれることになる。