白熱ドロー巨人VS阪神に見え隠れした誤算と思惑
阪神の守護神のスアレスを攻め、一死から坂本の右中間を破るツーベース。だが、これは打球に追いついていた近本の”記録に残らないエラー”だ。 橋上氏は、「大事にいきすぎて、腕を伸ばすのが遅れ、その自分の腕でボールを消してしまったんだと思う。外野手に起こることが少なくないミスだが」と言う。 岡本がつなぎ、亀井の申告敬遠で一死満塁として、丸の打球は、前進守備を敷いていた三遊間を襲う。だが、中野が飛びついて止めると、すぐさまバックホーム。送球はハーフバウンドとなったが、坂本が好捕しベースから足を離さなかった。 本塁のクロスプレーに原監督は、リクエストを求めたが判定は変わらず。三塁走者の増田のスタートが遅れたようにも見えたが、橋上氏は、「中野の奇跡のようなプレーを褒めるべきで増田の走塁はミスとは呼べないもの。満塁では三塁走者にギャンブルスタートは切らせない。内野にライナー性の打球が飛び併殺打に終わるケースを避けるのがセオリーだ」と解説した。 二死満塁とサヨナラ機は続いたが、7番の中田は、打球に力のないショートライナーに終わってゲームセット。 橋上氏は、「巨人にとっては負けに等しいドロー。いくつもの誤算があった。引き分け数の少ない阪神にとっては逆に意味のあるドローとなった」という捉え方をした。 3回の攻防にも両チームの問題点が浮き彫りになっていた。 原監督は、先発のメルセデスを3回で降板させ、代打に八百板を送った。 橋上氏は「原監督特有の“打線よ!奮起しろ”のメッセージをこめた交代。西の自滅を誘い、二死から結果的に5点のビッグイニングにつなげた。そこに今後の残り23試合を巨人がどう戦うのかという意図が見えた」という。 期待に応え、八百板は中前打で出塁したが、吉川は最悪の投ゴロ併殺打。だが、西が二死から松原に与えた四球からゲームが動く。岡本の38号同点3ラン、丸の17号2ランで5点を奪い、主導権を奪い返したのである。一方の矢野監督は、この回限りで、西だけでなく梅野も含めたバッテリーを総替えした。 「松原への四球がすべて。オリックス時代から緊張感のあるゲームで投げる経験の少ない西は、こういう重要な勝負どころで力を発揮できない弱さがある。加えて梅野のリードにもピンチで勝負を急ぐ悪い傾向が見えた。岡本、丸は、いずれも初球。キャッチャー出身の矢野監督からすれば、その配球が気になりバッテリーごと交替させたのではないか」 橋上氏は、そう分析した。 巨人の誤算は、先発メルセデスの3回での降板と3点のリードを守りきれなかった中継ぎ、抑えの崩壊にある。巨人は、残り23試合の時点で先発5人制で、中5日、中4日のスクランブル態勢で挑んでいるが問題はないのだろうか。