2位の阪神は新人ショートストップ中野の超美技でサヨナラ負けを阻止。3位の巨人との直接対決を価値あるドローに持ち込んだ

ヤクルトとの三つ巴で優勝を争っている巨人と阪神の直接対決が24日、東京ドームで行われ、一発攻勢で逆転した巨人が3点差を追いつかれて痛恨のドローに終わった。両チームにあった誤算と9回の息詰まる攻防。ペナントレースの行方を占う熱戦となった。一方で首位のヤクルトは中日を”完封リレー”で破り7連勝。2位の阪神とのゲーム差を0.5とした。

9回の攻防ドラマ

　9回にドラマが待っていた。 　6－5で迎えた9回に原監督は、右肘の違和感で登録を抹消していた守護神のビエイラをマウンドに送った。5日の阪神戦以来の登板となったビエイラは制球が定まらず先頭の糸原を四球で歩かせた。 　矢野監督は、代走に植田を使い、サンズに対する初球に盗塁成功。得点圏に走者を進めてサンズがセンターフェンス直撃の同点のタイムリー二塁打を放った。 　続く佐藤の打席で代打の島田をコール。その島田がバントを成功させ、一死三塁の勝ち越し機を演出したが、原監督が、直接マウンドに向かってビエイラに指示。代打の糸井は、高めの見送ればボール球のストレートに手を出し阪神にとって最悪、巨人にとって最高の三振に倒れた。二死となったが、坂本が四球を選び、一、三塁として、この日、2安打で一瞬”首位打者”に躍り出た近本に打席が回ったがスイングアウト。同点止まりとなった。 　巨人、楽天、ヤクルト、西武などで参謀を務め、現在はBCリーグ新潟アルビレックスBC監督の橋上秀樹氏は、9回の攻防に両チームの誤算が見え隠れしたという。 「ビエイラはボールに力があり故障の影響は感じさせなかったが、試合勘の無さと重圧から制球を乱した。ただ投げながら修正ができていたので今後への不安はないと思う。阪神は矢野監督が打ち出している野球がチームに浸透している。代走・植田が初球に仕掛けた盗塁成功が、その象徴。ただ一方でつめの甘さもあった。速球についていけなくなっている糸井しかいないという代打陣も弱いし、二死一、三塁となって一塁走者の坂本をなぜ走らせておかなかったのかも疑問。ビエイラはノーマークだったし、近本は、第一打席のように内野安打のある選手だから、走者をつめておかないとフォースプレーで、その足が生きない可能性がある。結果的に近本は三振に終わったが、ベンチは最善の策を取ったとは言えない。矢野監督に助言できるコーチがベンチにいなかったのか。今後の優勝争いの中での不安要素だ」 　その裏、巨人もサヨナラ機を作った。