日本Sベンチ攻防…何がヤクルトとオリックスの明暗を分けたのか…落ち着いた高津采配と“セ野球”に意識過剰の中嶋采配
プロ野球の日本シリーズの第3戦が23日、東京ドームで行われ、ヤクルトがオリックスとのシーソーゲームを5-4で制した。オリックスが3回に先行したが、継投ミスが響き、5回にヤクルトが逆転。オリックスは6回に杉本裕太郎(30)の2ランで追いつき7回に吉田正尚(28)のタイムリーで勝ち越すが、その裏、ヤクルトのドミンゴ・サンタナ(29)に逆転2ランが飛び出して勝負を決めた。石山泰稚(33)に回跨ぎをさせ9回には守護神のスコット・マクガフ(32)に敬遠策を指示するなど“ノムラID野球”を継承する高津臣吾監督(52)の采配が光った。対戦成績はヤクルトの2勝1敗となり、1勝1敗から先に2勝目を挙げたチームのV確率は79%という力強い過去のデータに後押しされることになった。
先に仕掛けたオリックス中嶋監督
天国にいる2人の名将も野球ファンを堪能させた名勝負に喝采を送っていたのかもしれない。“ノムラID野球”と呼ばれた故・野村克也氏の知恵を継承するヤクルト高津監督と、“仰木マジック”と呼ばれた故・仰木彬氏の系譜を持つオリックス中嶋監督の采配の攻防が東京ドームを熱くしたのだ。 どっちに転んでもおかしくなかったシーソーゲーム。戦いを終えた高津監督の表情は安堵感に包まれていた。 「初戦から凄くロースコアの競ったゲームが続いた。今日も同じような展開とは言わないが、抜きつ抜かれつの一進一退のゲームの中で最後サンタナが良く打ってくれた」 3-4で迎えた7回に逆転の2ランを放ったサンタナを称えた。 先に動いたのは中嶋監督だった。 3回、ヤクルトの先発“ライアン”小川から先頭の紅林が中前打で出塁すると、打者・伏見に揺さぶりをかけさせた。バントの構えを続けさせ、ヤクルトの一塁オスナ、三塁村上を誘き出して、カウントを2-1とするとバスターエンドランを仕掛けた。打球はショートへ。突っ込んできた西浦は、その作戦に動揺したのかゴロをスルーした。ロッテとのCSファイナルステージで9回に連続バスターという仰天采配を見せて日本シリーズ進出を決めた中嶋マジックがまた炸裂した。無死一、三塁とし、田嶋の送りバント、福田の四球で一死満塁と先制機を広げた。 「必死に食らいついていこうと思っていた」という宗が、小川のフォークをフルスイングで引っかけて一、二塁間を破る先制タイムリーである。 だが、5回にその中嶋采配に狂いが生じた。