なぜ日ハムは西川、大田、秋吉の国内外FA権保有者3人を“自由契約”としたのか…争奪戦に名乗りを上げる球団は?
新庄剛志新監督を迎えた日ハムは16日、海外FA権を持つ西川遥輝外野手(29)、国内FA権を持つ大田泰示外野手(31)、秋吉亮投手(32)と協議した結果、来季の契約を提示せず保留手続きを行わないと発表した。メジャーでは「ノンテンダー」と呼ばれる保有権の放棄で、3選手は自由契約となり他球団と自由に移籍交渉を行うことが可能になる。 なぜ日ハムは国内では異例とも言える決断を下したのか。 球団が発表した稲葉篤紀GMのコメントによると「選手にとって制約のない状態で、海外を含めた移籍先を選択できることが重要と考えた結果です」という。今季西川の推定年俸は2億4000万円、大田は同1億3000万円、秋吉は同5000万円。FA移籍に関して言えば、西川は球団の年俸ランキングの1位から3位に入るAランク、大田と秋吉は同4位から10位までのBランクとみられ、もしFA移籍する場合は、人的補償と金銭補償が必要となり、そこが獲得交渉に乗り出す球団にとってはネックとなる。 3選手に、そのリスクを負ってまで獲得に乗り出す価値があるかと言えば疑問符はつく。 今季西川は、130試合に出場し、24盗塁で盗塁王は獲得したが、打率.233、3本塁打、35打点。大田は76試合出場に留まり、打率.204、3本塁打、20打点。秋吉も、わずか10試合の登板で0勝0敗0S、防御率2・70に終わり、FA市場で争奪戦となるような結果は残せていない。交換相手を出すリスクのあるトレードに関しても同じだろう。そうなれば彼らの移籍の可能性は狭まることになる。だが、自由契約となれば話は違ってくる。 西川、大田は、それぞれ外野手としてのタイプは違うが、西川は盗塁タイトルを4度獲得したスピードスターで、2016年、2020年と2度、打率3割をマーク。特に“最多四球王”にも2度なるなど選球眼に優れている。ベストナインは2度、ゴールデングラブ賞も4度受賞。守備力に不安は出ているが、来季に向けて打線を強化したい巨人、中日、ポスティングによるメジャー挑戦を表明した鈴木誠也の穴を埋めたい広島、V奪回を狙うソフトバンク、ロッテらは獲得調査に乗り出すだろう。 資金力のない中日や育成に焦点を当てる広島が最終的に獲得に乗り出すことは難しいかもしれないが、西川はタイプ的に機動力野球を旗印とする阪神の矢野監督が好きなスタイルのプレーヤーでもある。