発達障害の子の「できない」にイライラ...父親失格だったと後悔するアナウンサーの反省
発達障害の専門書を読んで初めて見えた「子どもの本当の姿」
今、この本を書きながら思います。昔に戻ってそんな自分を殴り倒したくなるくらい、ひどい父親です。そんなある日、ふと自宅の本棚にあった一冊の本が目に留まりました。ずっと以前に買ったまま、一度も読むことなく放置していた発達障害―ADHDについての本でした。 著者は精神科医の司馬理英子先生。発達障害のクリニックを開いている専門家です。ADHDとは何か、多動症とはなにか、注意欠如とはどういうことか……原因や症状、そして対策が専門家の視点で、かつ、とてもわかりやすく書かれていました。目からウロコでした。決して特別なことが書いてあるわけではなく、非常にオーソドックスな内容です そんなことすら、当時の私は勉強していなかったわけです。本当にダメな父親です。この本を読んで、息子が車が走ってきているのに道に急に飛び出してしまうのにも、ちゃんと息子なりの理由があったのだと知りました。 私も含めて、多くの人が道を渡ろうとする時は、「向こうから走ってくる車との距離があのくらいあって……」「これくらいの速度なら安全に渡り切れる」そう状況を判断してから渡ります。 でもADHDはモノとモノとの位置関係、自分とモノとの距離といった空間把握がとても苦手な場合があります。空間把握能力が低いのに「大丈夫」だと判断してしまう。加えて、注意力の低さや衝動性もあいまって、本人は「行ける」と思ってスタートする。結果、周りからは突然飛び出しているように見える。 発達障害についてきちんと学んできた親なら知っていて当然のことを、私はその時、初めて知ったのです。 「……なるほど、そうだったのか……」本を読み進めるうちに、どんどん恥ずかしさを覚えていきました。私は息子を"自分"というバイアスで見ていただけ。その前に、発達障害、ADHDというフィルターを1枚かけることができていれば、息子の言動に対しての見え方は変わっていたはずです。 私はそれができていなかった。 「僕が完全に間違っていた……」 「あぁ……取り返しのつかないことをしてしまった……」 息子へのこれまでの言葉や態度を思い返すと、とてつもない後悔が襲ってきました。 私は、寝室へ行って寝ている息子に謝りました。 「本当にごめんね……お父さんが間違っていた」 「本当につらかったね……」
赤平大