極細の糸で生まれる極上の触感:武藤株式会社
ものづくりへの姿勢が紡いだ、世界とのつながり
ーパリで毎年2回開かれる世界で最高峰のテキスタイル国際見本市「プルミエール・ヴィジョン」に出展することになった経緯ついて、お聞かせいただけますか。 英之: 「当時、海外へ出るには展示会に出なければと思っていました。その頃は自社ブランドというよりもOEMがメインで。最初はジェトロ(日本貿易振興機構)経由でアメリカへ行きました。その後、ジェトロにプルミエール・ヴィジョンに出たいと相談しましたが、ジェトロは関わっておらず別の方面から紹介してもらったんです。そこに連絡をして実際に当社を見に来てもらったり、プルミエール・ヴィジョンの本部にサンプルを送ったりしました。するとプルミエール・ヴィジョンの会長が当社に興味を持ち、リサーチに来ました。 その際、『この生地は武藤でしか作れないのか?』などの質問もありましたが、『ここの産地だったらどこでもできますよ』と答えたんです。『なんだあなたの会社はすごくないのか?』『すごくないかどうかはあなたが決めるもんでしょ、私が決めることじゃないよ』と。『あなたは自分のことを一つも自慢しないな』と言われ『それが日本人なんだよ』と答えたら、そういった姿勢を気にいってくれたようで。それが出展につながりました。最初の出展の際、会長自ら私たちのブースを探して来てくれたんですよ」 ー自社製品ではなく産地全体を推されたんですね。それはなぜですか? 英之: 「産地のいろいろな人の力を借りなければものづくりはできません。伝統の力も必要です。技術は伝統ですからね。産地の技術や伝統があって、続いてきているわけです。そういったことを会長に説明したらとても感激してくれて、一緒に天ぷらを食べたり、実筆で手紙をくれたり、良い付き合いが続いています」 圭亮: 「売り上げも着々と伸びてきています。自社ブランドとしてはポップアップストアを軸に考えていますが、ECやセレクトショップなど購入いただくお客様の活動範囲に営業をかけたり、少しずつ知名度をあげていきたいと思っています。より多くの人に知ってもらえたらいいなと思っています」