トランプ政権時代のFTC、規制緩和で小売 M&A に新たな追い風か
記事のポイント バイデン政権のFTCは、タペストリーとカプリの合併阻止やAmazon提訴など、大型ディールに厳しい対応を取ってきた。 トランプ政権復帰の可能性により、M&A規制の緩和が見込まれ、投資家はディール活発化を期待している。 インフレや景気低迷懸念がM&A活動に影響を与え、一部カテゴリーでは堅調な一方で慎重な動きが続く。 バイデン時代のFTC(米国連邦取引委員会)は、消費者関連企業が関わる大型ディールに対して特に攻撃的であることで知られてきた。しかし、それもまもなく終わりかもしれない。M&Aや反トラストの専門家は、新政権下でディール形成の勢いが増すと予想している。 FTCは10月、ともにラグジュアリーブランドのオーナーであるタペストリー(Tapestry)とカプリ(Capri)の850万ドル(約12億7500万円)の合併計画を阻止した。タペストリーは11月14日、ディールの終了を発表した。2023年、FTCはAmazonを提訴し、このeコマースの大手が市場での地位を悪用して価格をつり上げ、不当に高い料金を販売者に請求し、競争を阻害していると主張した。8月からはワシントン州とコロラド州の弁護士とともにスーパーマーケットチェーンのクローガー(Kroger)とアルバートソンズ(Albertsons)の合併案をめぐって法廷に立っており、この合併案は今年末までに前進するか失敗に終わるかのどちらかになるだろう。 しかし、こうした状況は数カ月以内に変わりそうだ。 「現在は基本的に門戸が閉ざされているが、今後は間違いなく開くと思う」と金融サービス会社のエドワードジョーンズ(Edward Jones)の消費者関連企業担当アナリストであるブライアン・ヤーブロー氏は語った。「現在は、ディールの話が出ればほとんど何でも、何らかの抵抗か妨害を受ける」。 あの選挙以降、投資家は規制が緩和され、M&Aの機会が増えるという見通しに熱狂している。しかし、トランプ政権下のFTCが相変わらずビッグテックを標的にする可能性はある。トランプ次期大統領は過去にビッグテックに対して攻撃的な発言をしており、第1次トランプ政権下では司法省とFTCがGoogleとメタ(Meta)を相手に大規模な訴訟を起こしている。 次期政権下でM&A活動が活発化する可能性はあるが、必ずしもディール形成の大規模なブームを保証するものではない。アナリストと反トラストの専門家は、今後数年間を次のように予想している。