ホールもエスカレーターも金メッキ。58階建てなのに居住フロアを「68階」と呼び…。トランプタワーの中で気づいたトランプ的<強さ>の秘密とは
◆トランプ一家の商売 そこで“譜代”である1階のトランプ・バーに入ってみた。正式には「45ワイン&ウイスキー」という。数字はやはりトランプが第45代大統領だったことに由来する。 店内はダークブラウンの木目を基調とした落ち着いた高級感のあるデザインで、照明も暗く雰囲気は悪くなかった。ただ、いたるところにトランプの大きな写真が飾られていた。モノクロに加工されてシックな感じだが、額縁はまたしても金ピカ。カウンターに座ると、そのひとつと目があった。せっかくの雰囲気なのに、どうも落ち着かなかった。 しかも女性のバーテンダーは、「アメリカをふたたび偉大にしよう」の赤帽姿。さすがに悪趣味ではと思いながらも、とりあえずトランプ・ワインのスパークリング(ブラン・ド・ブラン)を注文した。 やはりここも観光客慣れしており、テキパキと対応してすぐに持ってきてくれた。シャンパーニュを思わせる繊細な泡立ちで、甘すぎることもなく、すっきりとして飲みやすかった。 トランプ・ワインは、次男のエリック氏が首都ワシントン南のヴァージニア州で経営するトランプ・ワイナリーの商品だ。スパークリングだけではなく、白、赤、ロゼと幅広く展開している。 メニューには、そのラインナップを使ったオリジナルカクテルが並んでいた。店名に由来する「フォーティー・ファイブ」、合衆国ファースト・レディー(First Lady Of The United States)の頭文字を取った「FLOTUS」――。 今回は、トランプがフロリダ州に所有する別荘にちなむ「マール・ア・ラーゴ・スプリッツァー」を頼んだ。トランプ・ワインの白ワイン(ソーヴィニヨンブラン)、グレープフルーツジュース、ソーダ水に、オレンジの切れ端を添えた一杯である。淡いオレンジ色が爽やかで、なるほど南国を思わせるロングカクテルだった。 ちなみに値段は24ドル(約3600円)。驚きの価格に恐れおののいたが、マンハッタンのオーセンティックバーで飲んだらそんなものなのだろう。そう自分に言い聞かせながら、観光客からもしっかり集金する、トランプ一家の商売上手に舌を巻いた。
【関連記事】
- トランプタワー地下1階の土産物店に行ってみた。オーナー曰く「最も売れている」トランプTシャツにプリントされていたのはまさかの<屈辱的写真>で…
- 新首相・石破茂が考える<安倍元総理の政治手法>。「敵か味方を識別し、たてつく者には冷厳な一面も。しかしその強さは脆さでもあり…」
- 「昭和100年」の社会ニュースを1年ごと振り返る。日本初の地下鉄、カラーテレビの本放送、マイケル・ジャクソン来日…思い出に残る出来事はありますか?
- 安倍昭恵夫人に「スピリチュアリズム」と「愛国」が同居する理由(雨宮処凛×中島岳志)
- 新首相・石破茂が<野党>に期待すること。「野党自民党には迫力があったが、最近の野党は元気がない。与野党はお互いを高め合う関係であるべきで…」