青色LEDで「世界を変えた」 2014年ノーベル物理学賞の赤﨑勇特別展が名城大で始まる
2014年にノーベル物理学賞を受賞した故赤﨑勇・名城大学終身教授・特別栄誉教授の業績をたたえる特別展「世界を変えた青いヒカリ」が、名古屋市の名城大天白キャンパス内で開かれている。受賞対象となった青色LEDを使った機器のほか、赤﨑教授が自宅で使用していた机や手書きの研究ノートも展示。「世界を変えた」その功績と、厳しくも温かだった人柄などを知ることができる。
「やりたいことやってきた」研究一筋で昨年4月に逝去
赤﨑教授は名城大在籍中の2014年、「青色LEDの発明」で名古屋大学の天野浩教授、米カリフォルニア大サンタバーバラ校の中村修二教授とともにノーベル物理学賞を受賞。決定直後は名城大学内で記者会見に臨み、「半分サプライズで、こんな名誉なことはない」と喜びを表した上で、「(青色LEDの開発は)20世紀中にはできないと言われ、やめていく人(研究者)もいたが、私はちっともそうは考えなかった。成否は考えず、ただ自分がやりたいことをやってきた」などと語った。 当時85歳だった赤﨑教授は、その後も研究活動に励んだが、昨年4月に肺炎のため92歳で亡くなった。特別展は、あらためて赤﨑教授の功績と人柄を内外に伝えようと企画され、“ノーベル賞ウイーク”である今月3日から始まった。
愛用の机には「THINK」、趣味で集めた桜島の石も展示
会場は壁一面のパネルで光の性質やLEDの仕組みを解説。さらに青色LEDによって実用化された液晶テレビやブルーレイなどの実物を展示し、赤﨑教授の研究が、身近な暮らしをいかに便利に変えたのかを学べるようになっている。 愛用の机には、文字を読むときに使っていたというルーペや鉛筆などのほか、正面の位置に「THINK」と書かれた小さな文字盤が置かれている。研究ノートには数式やグラフがびっしりと書き込まれており、研究に対する熱心さや深さが伝わってくる。一方、小さい頃から「石」を拾い集めるのが大好きだったというエピソードとともに、研究室のキャビネットに残されていた郷里の鹿児島・桜島の石も展示されている。 企画した同大渉外部の田上瑛(あき)さんは、「小学生以上のお子さんも対象に、体験的に見て回れるように工夫した。先生の生きざまは文系や理系関係なく、私たちが生きていく上で学ぶべきところが多い。今回の展示をぜひ多くの人に見てほしい」と話す。 会場は、2019年にノーベル化学賞を受賞した吉野彰・名城大終身教授の業績も合わせて紹介する「赤﨑・天野・吉野ノーベル賞記念展示室」のある同キャンパス校友会館の地下1階。開館時間は午前10時から午後4時までで、日曜と年末年始は休館。来年3月31日まで。入場無料。 (関口威人/nameken)