あいちトリエンナーレ後継の国際芸術祭「あいち2022」 30日の開幕を前に内覧会
「あいちトリエンナーレ」を引き継ぐ国際芸術祭「あいち2022」の内覧会が29日、名古屋市の愛知芸術文化センターなど愛知県内の各会場であった。「STILL ALIVE 今、を生き抜くアートのちから」をテーマに、多彩な現代アートやパフォーミングアーツが30日から10月10日まで披露される。県、市主体だったトリエンナーレの体制をあらため、民間主体となった主催者側は、3年前の企画展の混乱やコロナ禍を乗り越えた「新しい芸術祭」を見てほしいと強調した。
県内4会場で土地と作品との関係性もカギ
現代美術展には32の国と地域から82人(組)の作家が出展。パフォーミングアーツ、ラーニングプログラムと合わせて計100人(組)のアーティストが参加する。 メイン会場となる愛知芸術文化センターには、愛知県生まれのコンセプチュアルアーティスト河原温さんの作品で、開催テーマの基となった「I Am Still Alive」シリーズなどを展示。繊維産業で栄えた愛知県一宮市の会場は「祈り」や「病」「誕生」などをテーマに、焼き物で知られる常滑市では「大地」や「火」などをテーマに作品がそろえられた。 「有松絞り」で知られる名古屋市の有松地区では、東海道沿いの街並み保存地区を中心に作品が配置される。芸術監督の片岡真実さんは「現代アートだけでなく、会場になっている建物や土地の歴史も合わせて見てほしい」と呼び掛けた。
3年前の混乱に関する質問「もういい加減にやめて」
一方、3年前のトリエンナーレで企画展「表現の不自由展・その後」が混乱を招いたことから、記者会見ではその影響などを問う質問が多く出た。 片岡さんは「この3年間、何度も同じような質問を受けてきたが、もういい加減にやめてもらいたい」と発言。「前回のことよりも、コロナで海外作家の選定などに苦心した。その結果、生まれたものを見てほしい」と訴えた。 組織委員会の大林剛郎会長(大林組会長)は「3年前のことで(スポンサーとなる)企業などからネガティブな話も受けたが、日本を代表する芸術祭のためにと応援をもらい、開催にこぎつけた」と振り返った上で、「今回はまったく違う体制で、3年前のことは引きずっていない」と強調した。 チケットは期間中、各会場を何回でも鑑賞できるフリーパスが一般3000円、高校生以上の学生は2000円。入場当日限定の1DAY パスは一般1800円、高校生以上の学生1200円。中学生以下と障害者手帳を持つ人、その付添者1人は無料。 (関口威人/nameken)