岩下志麻「夫・篠田正浩と19歳で出会い、マンボを踊って〈この人だ〉と。結婚を決めたのは〈女優をやめろ〉と言われなかったからかも」
◆家では「志麻」現場では「岩下さん」 結婚後は、篠田と独立プロダクション「表現社」を設立しました。まさに二人三脚での映画づくり。私は結婚して女優としてダメになったと言われたくないという思いもあったので、一生懸命でした。 篠田は結婚当初から「家事は放棄していい」「家庭は休息の場にしよう」と言っていましたが、世間からは《悪妻》と評され、マスコミにも散散叩かれましたよ。でも、私にとって仕事に没頭できる環境はありがたかったです。 30歳を過ぎ年齢のこともあって子どもが欲しくなった頃、娘を授かりました。独立プロをつくっていたので、私は出産後も仕事をやめるつもりはなくて。夫も同じ気持ちだったのでしょう。出産して10日後には、次の作品の台本を渡されました。 そのため子育ても家事も人の手を借りていたのですが、娘の世話をお願いしていた方から「奥様、もう仕事をやめて、《お母さん》をしてください」と言われた時は、ショックでした。 母親が働きに出て、家を空けることに抵抗を感じる時代だったのです。それで私も仕事を続けていいのだろうかと、ずいぶん悩みました。
でも篠田は、「女優をしている時の君が一番イキイキしている」と励ましてくれた。結果的に、ほかの女優さんも次々に結婚して子どもを産んで。私がいいきっかけになったのかもしれません。 撮影現場での篠田とは、あくまで監督と女優の関係です。家では私を「志麻」と呼び、現場では「岩下さん」。そのあたりは、お互いにきっちりけじめをつけていました。もちろんロケ先でのホテルの部屋も別々です。 私はほかの監督の作品にも出演していましたし、夫もロケで家を空けることが多く、長い間顔を合わさないこともありました。そのかわり、毎日電話で話していましたね。 それから、娘の春休み、夏休み、冬休みには必ず時間をつくって家族で旅行へ行っていました。7年前に金婚式を迎えた時にも、娘家族と一緒に、私たちが結婚式を挙げた京都を旅行したんですよ。
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