「革靴」は嗜好品になりつつある…いま靴業界で起きている「意外な変化」
いちど履いてから調整へ
ーーまだ完成したものを履いていないんですよね? 島倉:まだ完成ではなくて、一旦、足を入れてもらってここから調整します。では、履いてみてください。 (ローファーを実際に履いてみる) 福島:あ、すんなり履けますね。 島倉:ではちょっと歩いてみてください。 福島:わあ、足が気持ちよく包まれてます! みやび:右の踵がちょっとブカブカしている気がします。 踵に隙間があると靴擦れがおきやすいですよ? 福島:そういわれればちょっとゆるい? (ここから調整を何度か繰り返す) 福島:踵がついてくるようになりました。強いて言うなら、ちょっとだけ左足がまだゆるいかも? みやび:靴作りではわがままを言ったほうがいいですよ。わがままを言うほどいい靴ができますから。
わがままを言ったほうがいい
ーーわがままを言ったほうがいいんですか? 諏訪部:何回も調整を頼むのは申し訳ないとか思うかもしれませんが、靴職人側としても感じた違和感などリクエストを言ってくれたほうがいいんです。 島倉:外から見て分かるところもありますが、足が感じている内容は教えてもらわないとどこに問題があるのかわからないですから。今回はソールを厚くした分、曲がりづらくて歩く際、 踵がついてきづらい状態だったかもしれません 諏訪部:出来上がったばかりの革靴はやはり硬かったりするので、まずはコンビニの散歩くらいかスタートしてだんだんと履く時間を延ばしてください。 (完成) ーー靴ができたあとにこんなに細かく調整をしているんですね。驚きました。 福島:自分が気になった点をお伝えすると、次はそこが改善されて履き心地が全然違ってきました。最初は包みこまれる感じとゆるさを感じ、それでも普段なら十分フィットしているレベルでしたが、調整後はそれが包みこまれるまま、体験したことないくらい足にフィットする感じがあって不思議体験でした。 みやび:どんどん気になる箇所が変わってきたりするんですよね。 福島:『靴の向くまま』の作中に、「靴ひとつで何が変わるんですか?」ってお客さんが詰めてくるシーンがありますが、実際に体験してみると、靴ひとつで本当に心が前向きになりますし、自分の足にプロが真剣に向き合って靴作りをしてくれるという体験から、今までにない嬉しさを感じました。 ーーやはり自分で体験してみると違う? 福島:これまで新しい靴を履くときって、どこか小さな違和感とか痛みは仕方ないって思っていたんですけど、実際オーダー靴の世界を体験してみると『靴の向くまま』で結彩ちゃんが「思ったことは何でも伝えてください」って言ってたことがよくわかりました。 みやび:漫画、描いてよかったです(笑)。私が実際に靴作りをしたときの先生も「わがままを言う人ほどいい靴をつくるんだよ」っておっしゃっていて、そういう方は満足度も高いって言われました。