「革靴」は嗜好品になりつつある…いま靴業界で起きている「意外な変化」
形や色、革も選べる
ーー革やデザイン、ソール(靴底)なども選べるんですよね? 福島:形や色、革を選ぶのはとても楽しかったです! 革のサンプルなどを見せてもらって、そのなかから選ぶんですけど、「どれにしますか?」って言われるとけっこう迷いました。 みやび:いくつか候補を出されるだけで迷っちゃうし、靴になったときのイメージがなかなかできないんですよね。 島倉:オーダーがボリュームのあるローファーということだったので、メンズ靴で使うしっかりしているけども柔らかい革を提案させていただきました。ソールがゴツめのローファーで、レディースのパンプスでよく使う薄い革を使うと、華奢になってしまって型崩れがしやすくなるので。 福島:足の計測も詳細に色々測ってくださってその体験を通してさらに愛着が湧くなあと感じました。 諏訪部:お客様はオーダーする靴以外の靴も絶対に履かれるので、既成靴の履き方のアドバイスなども含めてお話させていただいてます。 島倉:福島さんの場合は、足全体は華奢ですが、ボールガース(親指の付け根と小指の付け根のまわり寸法)部分がちょっと出ているので、どうしてもそこに合わせて既成靴を買うと幅広の靴を買わざるを得ないんです。 福島:自分の足に合わせて買うとめっちゃ太いローファーになっちゃうんですよね。今回、オーダーするにあたってたくさんお話しをしたのですが、普段、なかなか他人から足について細かく診断されることはないので、その体験も楽しかったです。 ーーたしかに自分の足を計測する経験すら珍しいことです。 福島:しっかりプロに見てもらって自分だけの靴を作る体験がこんなに素敵なことなのかと感激しました。今更ですが、『靴の向くまま』の登場人物たちの気持ちがよくわりました(笑)。あれは体験してみるとわかりますが嬉しい気持ちになるんですね。
3Dプリンターで木型づくり
ーー計測のあとは木型づくりですか? 諏訪部:そうですね。AYAMEでは3Dプリンターを使って木型を作ります。木型はパンプスならパンプス、ブーツならブーツで形が違ってきます。また、同じローファーでも使う素材によって硬い革であれば、少し大きめにしようとか、伸びやすい革であれば、少し小さめにしようとかデザインによって毎回作り直します。 福島:新たに作る場合は最初からもう一度計測するのですか? 諏訪部:いえ、計測した足の基礎データがあるのでそれを元に新たなに木型を作ることになります。ただ、パンプスの場合だとヒールの高さがあるので、踵(ル:かかと)が上がった状態での再計測はさせていいただくかもしれません。ヒール高さのある靴では踵からアキレス腱周りの部分も大切な所なので。