北京五輪女子アイスホッケーで“旋風”スマイルJの1次リーグ1位突破の価値とは?見えてきたメダル可能性「ここは通過点」
北京冬季五輪のアイスホッケー女子1次リーグ最終戦が8日、北京市内で行われ、世界ランキング6位の日本女子代表「スマイルジャパン」が3-2で同7位のチェコ女子代表を撃破。3勝1敗でグループBの1位通過を決めた。 FW床秦留可(24、SEIBUプリンセスラビッツ)が2ゴールを決めるもその都度追いつかれた日本は、延長戦を経て突入したペナルティーショット・シュートアウトで2人目のFW久保英恵(39、同)が成功。後攻めのチェコは日本の守護神、藤本那菜(32、無所属)の前に5人全員が失敗に終わり、死闘に決着がついた。 4度目の五輪で史上初の決勝トーナメント進出をすでに決めていた日本は、グループBの1位を射止めたことで世界をけん引する2強、アメリカおよびカナダ両女子代表との早期の対戦を回避。12日に行われる準々決勝で、グループAの3位に入った世界ランキング3位のフィンランド女子代表と対戦する。
延長の末シュートアウトにもつれ込んだチェコとの死闘を制す
氷上でスマイルが満開になった。チェコの5人目、キャプテンのFWアレナ・ミルスのショットを右手で食い止め、ゴール後方へ弾き飛ばした藤本のもとへ、祈るように戦況を見守っていた選手たちが滑り寄りながら歓喜の輪を作った。 すでに決めていた史上初の決勝トーナメント進出に、照準を定めていたグループBの1位という結果を添えた。ソチ、平昌両冬季五輪に引き続いてキャプテンを務めるFW大澤ちほ(29、無所属)がチーム全員でつかんだ勝利だと強調した。 「粘り勝ちだったと思います。押し込まれる時間帯も長かったなかで、我慢強く戦って最後に勝ち切れた。まずは1位で通過して準々決勝へ進むことを目指してきたので、すごく大事な試合で大きな勝利をあげられて本当によかったと思っています」 2-2のままサドンデス方式の延長戦でも決着がつかず、もつれ込んだペナルティーショット・シュートアウト。サッカーで言うPK戦で、長く日本をけん引してきた39歳のチーム最年長、久保が両チームを通じてただ一人、ゴールをこじ開けた。 2人目での登場が決まっていた久保は、1番手のFW浮田留衣(25、ダイシン)のショットを防いだチェコのゴーリー、クララ・ペスラロバの動きを冷静沈着に観察。ゴールが小さいがゆえに、守る側が圧倒的に優位に立つなかで突破口を探した。 弾き出された答えは、果敢に前へ飛び出すペスラロバの両足の間だった。ゴール直前でフェイントを入れ、素早く右へ移動した直後にスティックを一閃。パックはペスラロバの右ひざ、次に左足首に当たった末にゴールラインをぎりぎりで超えた。 濃密な経験に勝利への執念を融合させた久保 だが、実は、一度引退している。