「記憶力は才能」と思っている人に欠けた視点…東大卒の記憶力日本チャンピオンが教える実態
勤勉性も、日常の中で「僕は才能がないから真面目ではないんだ」という話はあまり聞いたことがありません。家庭や学校、交友関係などの生活環境によるものが大きいと考えられます。 つまり、記憶力もこれらと同程度しか遺伝要素はないのです。遺伝要素や才能要素が全く関係ないとはいいませんが、このように考えると少しはやってみようと思えませんか? ■忘れることは悪いことではない 記憶力を上げる第一歩として最も重要かつ理解しておいてほしいことが、この見出しでもある「忘れることは悪いことではない」ということです。 忘れることは、人間を含む多くの動物に備わる「仕組み」なのです。
想像してみてください。もしすべてのことを忘れることができなかったら、どうなるでしょうか? 友達とけんかしてとても腹が立ったこと、大切な人が亡くなって悲しかったことなど、生きていれば大きいものから小さいものまでたくさんの感情が溢れています。 もしその出来事やその瞬間に感じた気持ちが、毎日蓄積されるとしたら? 間違いなく、自分の体があらゆる感情に支配されて、今この瞬間に生きることが苦しくなってしまいます。実際に人間の脳は、あらゆる出来事や経験を無意識に「必要なもの」と「不必要なもの」に選別しています。
自分の生死にかかわるような衝撃的な体験などは、たった一度の経験で、トラウマとして長期間「記憶」に残ったり、何かをきっかけに鮮明によみがえったりします。 しかし、学校の小テストで出題される英単語は衝撃的な体験ではないため、なかなか記憶に定着しないのです。つまり、人間が1回で覚えるということは、ほぼ不可能だということです。 だから脳が記憶できるよう、「反復」や「復習」を行うのです。何度も繰り返して、脳に「これは大切なことだ」と無意識的に判断させると、だんだん忘れにくくなり、長期的に覚えていられるようになります。