「ロレックスぐらいは買える!!」精神科の訪問看護最大手が社内LINEでハッパをかけた「売り上げ最大化」
▽本社は新橋の雑居ビルだが、事業規模は「100億円」とも 松本氏はどういう人物で、ファーストナースとはどんな会社なのか。 民間信用調査会社や社員らによると、松本氏は61歳。都内とシンガポールに住まいがあるという。不動産業や飲食業を手がけた後、2002年に東京都内で「ヴァティー」という会社を立ち上げ、介護施設の運営に乗り出す。 事業を順調に拡大させ、東京・新橋を拠点に複数の会社を設立。これらの会社で各地に高齢者住宅や老人ホーム、障害者向けグループホームを計約170カ所運営する。高齢者住宅では全国トップクラスの規模だ。 ファーストナースは松本氏が2010年に設立した。元々は別の社名だったが、現在の名称に変えた2017年から訪問看護事業に乗り出した。 精神科の訪問看護は患者の健康・服薬管理のほか、困り事の相談に乗ったり、生活上の支援をしたりする役割がある。精神疾患を持つ人の増加や、「病院から地域へ」という国の政策を背景に、同社は年間30~50カ所のステーションを開設して事業を拡大。
現在は東北から中国地方までの18都県で約240カ所を運営する。事業規模は2023年度の推定で約50億円だが、松本氏は「100億円」とも話しているという。 事業規模からすると意外だが、本社は新橋の雑居ビルの一室。各地の訪問看護ステーションの多くは、普通のアパートやマンションの一室だ。 ▽「2年で事業を2倍にする」 社員らによると、ファーストナースの利益優先の方針が強まったのは、松本氏が株式上場を目指す考えを示した昨年ごろ。「ステーション別スタッフ1人当たり売り上げ」といったランキング表が作られるようになり、会社の売り上げ目標も2023年の110億円が24年には150億円に引き上げられた。 訪問件数が一定数を上回ると、手当が支給され、成績上位のステーションの看護師らは松本氏が住むシンガポールへの旅行に招待されたという。 経営陣は架空請求といった不正はしないよう求める一方、診療報酬の制度の枠内で「売り上げ最大化」を指示。「今後2年で事業規模を2倍にする」として、拡大路線をひた走っている。