「ロレックスぐらいは買える!!」精神科の訪問看護最大手が社内LINEでハッパをかけた「売り上げ最大化」
▽患者の状態に関係なく訪問回数や時間を指示 取材に応じた現・元社員約10人がそろって疑問視する同社の手法は、主に次の4点だ。 (1)患者の状態や必要度に関係なく訪問回数を増やすよう指示する (2)訪問時間を35分で切り上げるよう指示する (3)複数人で訪問する必要があると思われる場合でも、1人で訪問するよう指示する (4)ヴァティーなどが運営する高齢者住宅や老人ホームの入居者について、会社の指示で医師に精神疾患の診断を依頼する 詳しく説明しよう。 (1)の訪問回数については、精神科の訪問看護は制度上、原則週3回が上限と定められている。週何回行くかは患者の症状などに応じて看護師が判断するが、その回数が適切かどうかチェックする仕組みはない。そのため、診療報酬を多く得るため過剰に回数を増やすことができてしまう構造になっている。 (2)の訪問時間は制度上、原則30分以上となっているが、同社は31~35分にとどめるよう指示。患者の状態に応じて看護師が長い時間の滞在が必要だと思っても、35分を大幅に超えると注意されるという。診療報酬を効率的に得るためとみられる。
(3)の訪問人数については、訪問看護は医師の指示書に基づき行うことになっていて、例えば患者が危険な行為をする場合などには、医師が指示書に「複数名訪問の必要あり」と記入する。その場合は看護師らが複数で訪問できるが、同社は2024年の目標で「一人訪問当たり前」「一人訪問比率100%」と記載している。 ある看護師は「1人と複数人どちらにするかは、あくまで必要性に応じて判断すべきことで、会社が最初から指示するのはおかしい」と指摘する。 社員らによると、会社は以前は逆に、必要なくても複数人で訪問するよう指示していたという。社員らは「複数人訪問のほうが1回当たりの診療報酬が高いからだが、経営陣が『1人訪問で多くの件数を回ったほうが利益が上がる』と方針を転換した」と話す。 (4)の精神疾患の診断依頼については、身体疾患や認知症だけでは精神科の訪問看護はできないため、訪問件数を増やす目的があるとみられる。松本氏は会議で「付き合いのある医師に何か精神科の病名を付けてもらえばいい」「訪問看護をもっと受け入れるよう、ホーム側に言っておいたから」などと話していたという。