箱根・強羅、紅葉や秋バラ色めく自然美の旅 デンマーク料理や彫刻の遊歩道も楽しむ
■アートと自然が響き合う 森の遊歩道
2002年に誕生した「ポーラ美術館」。箱根の自然と景観に配慮した美しい建物や充実した展覧会に加え、ファンが多いのが、富士箱根伊豆国立公園の豊かな自然を生かした「森の遊歩道」だ。 箱根・仙石原エリアにある美術館周辺の敷地には、ブナやヒメシャラをはじめとする箱根ならではの植生や生態系が息づいている。開館当初から遊歩道は存在していたが、10 周年を迎えた 2012 年にグランドオープン。「この豊かな自然環境もぜひ美術館を訪れた人に味わってほしい」との思いから、大きく拡張した。 現在は全長1キロメートルの木道が設けられ、現代のアメリカを代表するアーティスト、ロニ・ホーン氏によるガラス彫刻作品《鳥葬(箱根)》など、25点の屋外彫刻作品が自然のなかに常設展示されている。 「箱根の自然と美術の共生」というポーラ美術館のコンセプトは、森の遊歩道でも体現されている。たとえば、ポーラ美術館のコレクションの核となる印象派絵画には、自然をモチーフにした絵画や、実際に戸外で描かれた作品が多くあり、「アートに描かれる自然」と目の前に広がる「本物の自然」を同時に楽しむことができる。 屋外彫刻は季節や天気、時間帯により移り変わる自然の様相を受け、作品の表情や印象も変化していく。豊かな国立公園のなかで「アート」と「自然」が響き合う様子を感じるのは、なんともぜいたくなひとときだ。 箱根に秋がやってきて、ブナやカエデの黄葉やモミジの紅葉が始まると、森は鮮やかに色づいていく。美術館内のカフェ「チューン」のピクチャーウインドーから望む景色は、まるで1枚の絵画のよう。夏の間には見られない樹木や枝ぶりの美しさも味わい深く、ホットサンドやケーキなどに舌鼓を打ちながら、窓の外の絶景に癒やされるひとときは格別だ。 企画展は現代のフランス美術を代表するフィリップ・パレーノの国内最大規模の個展「この場所、あの空」を2024年12月1日まで開催中。同12月14日からは近代から現代までの美術における色彩に注目する「カラーズ―色の秘密にせまる 印象派から現代アートへ」が始まる。アート鑑賞とあわせて、森の遊歩道の散策を楽しんでみたい。