西武「#源田たまらん」で無失点記録継続中の平良“消耗登板”回避
いきなりの失点でロッテのリズムが乱れたのか。その後も四球に長短打、さらに2つのエラーが絡んで西武が4点を追加する。今シーズン2度目の完封負けを喫した、前夜の10回戦とは対照的な展開に辻監督も苦笑いするしかなかった。 「ホームランが出ると、だいたいそこで切れるんだけどね。相手のミスがあったにしろ、さらに4点取れたのは大きかったし、今井をちょっと楽にしてくれました」 指揮官の言葉通りに、先発右腕・今井達也は立ち上がりでいきなりピンチを迎えた。先頭の荻野貴司を歩かせ、二死後に角中勝也にも四球を与えた。ここでマウンドへ向かい、今井へ声をかけたのがショートの源田だった。 「ランナーが出ても動じずに、今井は本当に頼もしいピッチングをしてくれていた。なので、ちょっと間を取りにいっただけ、という感じです」 いずれもリーグ2位の16本塁打、45打点をマークしているレアードとの勝負は今井に軍配が上がる。150km台の直球と128kmのカーブで1-2と追い込み、最後は145kmのカットボールでバットを折ってピッチャーゴロに仕留めた。 「初回は変化球を(上手く)投げようと意識するなかで、バランスよく投げられませんでした。ただ、回を重ねるごとに身体も動いてきて、だんだん感覚もよくなってきて、粘りのある投球ができました」 25球も要した初回を切り抜けた今井は強力な援護射撃を受けて、5回までを3四球のみの無安打無得点に封じる。最終的には7回123球で被安打4、失点2に抑えて手にした5勝目を、試合ごとに膨らむ手応えに置き換えた。 11度の先発のうち7イニング以上を投げたのが7度。150km台の威力ある直球だけに頼らず、変化球を駆使した緩急で相手打者を翻弄する“快感”にも目覚めつつある2016年のドラフト1位右腕に、辻監督もいまや大きな信頼を寄せる。 「序盤は球数が増したなかであそこまで投げて、2失点で抑えてくれた。いまの(先発陣の)なかでは安定して(長い)回を投げてくれるので、チームとしても助かっています」 防御率2.54は山本由伸、宮城大弥のオリックス勢に次ぐリーグ3位。今井の先発した試合で西武は7勝3敗1分けと勝ち越し、特に直近では4連勝をマーク。開幕からの無傷の5連勝が一転して前夜までに3連敗を喫するなど、やや精彩を欠いている高橋光成に代わる大黒柱の今井を、バットだけでなくバックでも盛り上げたのも源田だった。 絶妙のタイミングで声をかけた初回に続き、6番・安田尚憲にストレートの四球を与えた2回も、続く藤岡裕大のセカンドゴロによる併殺を中継役として完成させた。 7回には先頭の安田が放った、今井の足元を抜けてセンター前へ転がっていきそうな打球を猛然とダイビングキャッチ。素早く起き上がって一塁で刺す超美技を演じた。 今井が1位指名された2016年のドラフト3位でトヨタ自動車から入団。2年目の2018年からゴールデングラブ賞を受賞し続けている華麗な守備に、いつしかSNS上でハッシュタグ「#源田たまらん」を流行らせてきた名手は、4回のライト前ヒットを合わせて、今シーズン5度目の猛打賞を含めた自らの走攻守を感慨深げに振り返った。 「こうやってファンの方の前で野球ができて、本当に幸せだと思っています」